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Vol.55
広報誌「とっきょ」2022年12月19日発行号

特集1:国立大学法人 東京医科歯科大学

産学連携で達成する
人類のトータルな「健康」

 2020年に指定国立大学法人(世界のトップ大学と競争し、日本のイノベーション創出を牽引できる国立大を支援する仕組み)として新たに指定された東京医科歯科大学。大学の所有する知財を生かし、いかに社会にトータル・ヘルスケアを提供していくのか。学長を務める田中雄二郎氏が語ったのは、必須となる産学連携の在り方だった。

TOP RUNNER INTERVIEW
国立大学法人 東京医科歯科大学学長 田中 雄二郎氏のプロフィール写真

国立大学法人 東京医科歯科大学学長

田中たなか 雄二郎ゆうじろう

1980年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。1985年同大学大学院医学研究科内科学博士課程修了。マウントサイナイ大学附属アルコール研究治療センターなどを経て、1989年より東京医科歯科大学医学部附属病院へ。2020年学長に就任。

PROFILE

国立大学法人 東京医科歯科大学の外観

国立大学法人 東京医科歯科大学 1928年に日本で最初の歯科医学教育機関として設置された東京高等歯科医学校を前身とする。1944年に医学科が設置され、1946年に旧制の東京医科歯科大学、1951年に新制大学。文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業のトップ型指定校。2020年に指定国立大学法人へ指定 [所在地] 東京都文京区湯島1丁目5番45号
[TEL] 03-3813-6111
[URL] https://www.tmd.ac.jp(外部サイトへリンク)
[設立年] 1928年
[業種] 国立大学
[従業員数] 2,935人(2022年5月時点)

産学連携で重要なのは
企業と医師の適切なマッチング

指定国立大学法人の申請に向けて学内で議論を深め、東京医科歯科大学ではトータル・ヘルスケアの実現をテーマとしました。それは、世代や地域を越えて地球人類全体のヘルスケアを実現することも示しています。そのためには、企業やスタートアップ、行政、他の大学、そして何より一番貢献したいと考えている社会と連携しなければいけないと考えました。自分自身が研究者としてスタートアップと連携する機会があり、そのスピード感に驚かされ、やはりフットワークが良い相手と組まないとなかなか社会実装までには至らないと実感しました。スタートアップこそイノベーションの可能性を広げるための資産であり、大学発のイノベーションの重要性が今後さらに増すだろうという思いを強め、大学全体としてもスタートアップとの連携にも力を入れて取り組んでいるところです。

その鍵となる産学連携の実現に向けて実施している施策の一つが、TMDUイノベーションパーク(以下、TIP)です。東京医科歯科大学の建物の中にイノベーションパークがあり、スタートアップが身近な場所にいて、医療者と同じエレベーターに乗り合わせて気軽に会話できる距離感の近さがある、そんなコミュニケーションを取りやすい環境が重要だろうという発想で作りました。発足から約1年、共同研究のプロジェクトも立ち上がりつつあり、手応えを感じてきたところです。

このほか産学連携を促進するため、イノベーションプロモーター教員制度も整備しました。学長から任命された若手の研究者約30人が、産学連携を行いたい企業と学内教員の仲介役を務める制度です。研究現場にいる研究者が産学をつなぐ役割を担って企業ニーズに触れることで、社会や産業に資する新たなアイデア提案が生まれてくる成果を想定しています。この試みは、若い研究者に産学連携や知財に対するマインドを高めてもらう狙いもあります。次世代の研究者が社会との接点を持ち、経験を積むことで、産学連携を加速する流れを作る。こうした積極的な取組を通じて、より良いトータル・ヘルスケアを実現する土壌を作っていきたいですね。

NECカラダケアのイメージ画像
膝や腰が痛くなる前の段階から診断できると、より良い治療ができるのに……。そうした医療現場のニーズと、NECのヘルスケアビジネスがかみ合って生まれたのが、NECカラダケア。共同研究により開発した根本的な原因・課題の解消を目指す改善プログラムを提供することで、不調や違和感の解消につなげていく。
TIP概念図(東京医科歯科大学提供の資料より)
TIP概念図(東京医科歯科大学提供の資料より)
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