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特集1:株式会社菊池製作所×株式会社テラ・ラボ
福島イノベーション・コースト構想の看板ともいえる「福島ロボットテストフィールド(RTF)」。南相馬市復興工業団地内に造られた、世界に類を見ない陸・海・空のフィールドロボットの一大開発実証拠点に、高い技術力と福島復興への情熱を抱いた企業や大学、研究機関などが集まり、次の時代を創り出そうとしている。
株式会社テラ・ラボ 代表取締役
松浦 孝英氏
1999年にモバイルITコンサルティング会社を起業。2014年に株式会社テラ・ラボを設立した後、2016年から中部大学国際GISセンター研究員として長距離無人航空機を研究、大規模災害における社会実装を目指し開発を行う。
PROFILE
株式会社テラ・ラボ
「宇宙から地球を考える」をテーマに創業。災害対策の情報収集サービスやインフラ監視を主事業に、固定翼機や衛星などを使った災害対策DXの推進に努めている。
[所在地] 愛知県春日井市不二ガ丘3-28(本社)
[TEL] 050-3138-1612
[URL] https://terra-labo.jp(外部サイトへリンク)
[設立年] 2014年
[業種] サービス業(災害情報収集・解析システム)
[従業員数] 10人(2022年4月時点)
私は2014年にテラ・ラボを創業し、その後、中部大学国際GISセンター研究員の立場で広域災害時の情報支援システムを研究してきました。大きく三つの研究領域を定めており、一つは長距離無人航空機、いわゆるドローンです。それから空間情報データの収集・解析・共有の仕組み。そしてその情報を基に対策を行う地上側の支援システムです。この区分は、網羅的に知財を保有して自社の価値を高める知財戦略の策定でも役に立ちました。各領域における実績や課題、競合の動向などをマトリクス化し、「IP Strategy Board」と呼ぶ知財マップを作成することで、空白分野の特許出願といった必要な対応を的確に判断できるのです。大学職員や研究員として知財に携わった経験からも、知財を自分たちが単独で保有する重要性は、創業当初から強く意識していました。
福島に拠点を置く決意をしたのは、2019年2月に福島県が実施した企業立地セミナーが契機です。当時、無人航空機の研究拠点を探しているところでした。実際に原発の状況や荒廃した住居跡を目の当たりにした時は衝撃を受けましたが、同時に自治体の方々の復興に懸ける熱意に圧倒されて、「自分も福島のイノベーションに貢献したい」と、同年9月にRTFに入居しました。最初は滑走路や生活インフラなどのハード面に注目していましたが、次第に南相馬のソフトパワーを実感するようになりました。先進的な企業が集積することで互いのイノベーションが劇的に加速する「場」の力。何より、復興を願う地域の皆さんの手厚い伴走支援。きれい事と思われがちな「未来」や「希望」といった言葉が、ひとがモチベーションを保つためにどれほど大切であるか、福島に来て痛感しています。RTFを拠点に、産業の活性化や雇用創出、人材育成に貢献する。そして福島の「未来」や「希望」を見える化する。それが私たちの目指すものです。