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特集1:香川高等専門学校
ロボット分野に関心があり、「高専ロボコン」優勝を目指して香川高専に入りました。研究室でも、日常生活に不可欠な送電線の保守業務を劇的に改善する点検ロボット(のちに特許取得)を研究し、それにAIによる異常検知を掛け合わせた「送電線点検システム」で2019年のDCONに出場して、2位を獲得しました。社会の課題解決に貢献する研究という確信があったので、社会実装される日をただ待つのでなく、自らアクションを起こそうと決意し、専攻科1年在学中の2020年8月に起業。その際は、MAiZM(※2)など各方面からの支援をいただきました。高専発のスタートアップは「地域のITのつなぎ役」と期待されるので、今後は送電線分野だけでなく、地元起業のDXを支援するツールやサービスも展開したいと考えています。(三豊AI開発・武智社長)
2022年のDCONに出場後、MAiZMのサポートを受けて、専攻科卒業直前の2023年1月に会社を設立しました。先駆者である武智さんの存在が非常に心強く、事前準備や注意点についての実際的な助言も参考になりました。起業という選択に家族や地域の方々には驚かれましたが、それでも理解を示してくれて感謝しています。また、地元の企業や金融機関とお話をする中で、「高専の若者が頑張るベンチャー」として期待していただいていることを実感します。現在は「ITの万屋(よろずや)」の看板を掲げて、多様な受託案件に対応中。地域のニーズを学びながら、少しずつでも貢献していきたいですね。(D-yorozu・柏原CEO、山田CTO)
※2 MAiZM(マイズム:一般社団法人みとよAI社会推進機構)……香川県三豊市・東京大学大学院松尾研究室・香川高専が協力し運営。AI人材の育成と、その技術を使った地域や企業の課題解決を推進する
「学生起業」を、香川高専の新たな伝統に!
(右)株式会社三豊AI開発代表取締役社長・武智 大河:愛媛県出身。2020年8月に会社設立
(中央)株式会社D-yorozu CEO・柏原 悠人:香川県出身。2023年1月に会社設立
(左)株式会社D-yorozu CTO・山田 斉:香川県出身。柏原氏と共に起業
香川高専はDCONで4年連続本選進出の実績
武智氏は2019年に2位。2022年は柏原氏が「健康状態見守りシステム」(文部科学大臣賞受賞)、山田氏が「混雑情報発信システム」で出場