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出典:WIPOウェブサイト
4月26日は、「世界知的所有権機関(WIPO)設立条約」が発効した日にちなみ、「World IP Day」とされ、2001年以降、イノベーションを促進する上での知的財産権の役割について、各国の人々の理解を深めるために様々な関連行事が行われています。22年目にあたる本年は、“IP and Youth: Innovating for a Better Future”(IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション)のコンセプトの下、世界各地で本テーマに関する普及啓発活動が行われます。
2022年のWorld IP Dayに寄せて、特許庁からWIPOへのこれまでの貢献、特許庁とWIPOとの協力関係、意匠五庁(ID5)と商標五庁(TM5)による共同メッセージ、特許庁の若者支援に関する取組及びコンテンツについてご紹介します。
特許庁は、これまで様々な取組を通じて、WIPOとの協力関係を深めてきました。 我が国は、1987年からWIPOに対して任意拠出金を支出しており、この拠出金を基に信託基金「Funds-in-Trust Japan Industrial Property Global(FIT Japan IP Global)」を運営しています。この基金の創設以来35年間で、総額9000万スイスフランを拠出し、100か国以上に支援を行ってきました。特許庁は、この基金を通じ、アジア、アフリカ等の途上国に対する支援として、研修生の受入れ(1987年から累計61ヵ国、4地域から1800人超)、ワークショップ等の開催、専門家派遣(1987年から累計39ヵ国へ400人超)、知財庁の情報化・近代化支援などの事業を実施しています。
特許庁は、FIT Japan IP Globalを活用した若者の支援にも取り組んでいます。2021年6月には、若者への知財の教育方法に関するワークショップとして、FIT Japan IP Globalの支援により、WIPO Academy及びWIPO日本事務所(WJO)が、「IP4Youth&Teachersワークショップ」を開催しました。同ワークショップでは、次世代の知識豊富な知的財産の利用者を育成するために創造性、イノベーション、起業家精神を促進するという観点から、若者に対する知的財産の教育の重要性に焦点が当てられました。同ワークショップには、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス人民民主共和国、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムの44名の政策立案者、教員、実務者が参加しました。
また、創造力と想像への尊重の重要性をわかりやすく伝えるために、WJOはFIT Japan IP Globalの支援を受けて「アイデアを伸ばそう」という教育本を作成しました。安藤百福氏によるインスタントラーメンの発明を例に、創造的思考の重要性、及び、世界中の人々にインスタントラーメンが広がるために欠かせなかった知的財産の役割を分かりやすく解説しています。「アイデアを伸ばそう」は、知的財産についての初心者や学生、及び、創造力や知的財産を教える教育者の方を対象としています。教育者用に、本教材を用いて授業を行うためのティーチングノート(教育者用ガイドブック)も公開しています。「アイデアを伸ばそう」の英語版、及び、ティーチングノートの日本語版・英語版は無料でダウンロード可能です。
WIPOの外部事務所として2006年に設立されたWIPO日本事務所(外部サイトへリンク)は、日本における知的財産制度の意義や役割の発信、WIPOと日本の関係府省や裁判所との橋渡し、WIPOが所管する特許・商標・意匠の国際出願・登録制度の普及を行っています。加えて、地球規模課題への対応としてSDGsへの貢献にも資するWIPO GREEN(外部サイトへリンク)等の取組、FIT Japan IP Globalを用いた事業であるIP Advantage(外部サイトへリンク)をはじめとする途上国協力、知的財産制度の利用を促すための調査研究なども行っています。
また、知的財産制度やWIPOが所管する国際出願・登録制度の普及に際しては、セミナーや個別ユーザー訪問を行うとともに、日本語にて各種情報提供やユーザーサポートを行っています。
これら普及啓発活動や地球規模課題への対応、FIT Japan IP Global事業などにおいて、特許庁は、WIPO日本事務所との連携を深めています。
特許庁は、WIPO日本事務所との協力内容を紹介するウェブページを公開しておりますので、ぜひご覧ください。
FIT Japan IP Globalを通じたワークショップ
(写真提供:WIPO日本事務所)
ID5とTM5は、日米欧中韓の知的財産庁が、意匠分野、商標分野における国際的な協力を推進するために、それぞれ2015年、2011年に創設された枠組みです。
ID5とTM5は、2022年のWorld IP Dayに寄せた共同メッセージを公開しました。その中では、本年のWorld IP Dayのテーマ「IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション」を歓迎し、世界の若者の更なる能力向上が堅固でグローバルな知財制度に不可欠であることを確認しています。
こども霞が関見学デーは、各府省庁等が連携し、夏休み期間中に子供たちに広く社会を知ってもらうこと、政府の施策に対する理解を深めてもらうこと等を目的とした取組です。
特許庁は2021年のこども霞が関見学デーにおいて、「回転」をテーマとした、創造性を育むことができるオンラインイベント「ジュニアイノベーションフェス ひらけ!そうぞうの扉」を実施しました。同イベントには、2日間で170名以上が参加し、イベントのアンケートでは、95.6%の参加者から「また参加したい」との回答を得ました。
特許庁は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)、文部科学省、日本弁理士会との共催により、毎年パテントコンテスト及びデザインパテントコンテストを実施しています。
同コンテストは、我が国の将来を担う高校生、高等専門学校生、大学生、専修学校生及び大学校生が、自ら考え出した発明やデザイン(意匠)を応募し、優秀な応募作品を表彰するものです。優秀賞として表彰された応募作品は、出願支援対象となり、日本弁理士会の弁理士による出願書類の書き方等の指導・支援を受けることができます。また、同コンテストには優秀賞の他、特許庁による特許庁長官賞や、WIPOの協力を得てWIPO賞等が設けられております。
全日本学生児童発明くふう展は、次代を担う青少年に創作する喜びと発明くふうの楽しさを体得させ、その優れた発明くふう作品を顕彰することにより、創造性豊かな人格形成をめざすことを目的としています。
同取組は、公益社団法人発明協会により実施されており、特許庁はWIPOと共に同取組を後援し、それぞれ特許庁長官賞とWIPO賞を設けております。
最新の受賞作品は以下公益社団法人発明協会のウェブページより閲覧可能です。
特許庁では、コピー商品を購入すべきでないという意識を醸成し、知的財産保護の重要性を広く周知することを目的としてコピー商品撲滅キャンペーンを実施しています。
2021年度には、東京都立西高等学校、東京都立千早高等学校、私立関東第一高等学校、私立東洋大学京北高等学校の4校を対象に、知的財産権侵害防止教育のモデル授業を実施しました。モデル授業では、民間企業のご担当者を講師に迎え、コピー商品の見分け方、コピー商品の危険性、ブランド保護の大切さ等について、講義が行われました。
また、同キャンペーンの一環として、教師の方々がコピー商品に関する正しい知識を生徒に教える、知的財産権侵害防止教育の授業を実践するための学習指導案等も作成しました。
特許庁は、若者など幅広いユーザーに知財制度を知ってもらうための取組の1つとして、漫画審査基準を作成しました。
審査基準とは、特許法等の法律を審査官が出願の審査において適用するための指針としてのみならず、ユーザーが特許庁における審査実務の理解を深めるためにも利用されています。
特許庁は、より多くの方に審査基準に興味を持っていただきたいとの思いから、世界でも類を見ない試みとして、審査基準の基本的な考え方を日本語及び英語で漫画化しました。
漫画審査基準は、社会的関心の高いAI・IoT関連技術を題材として取り上げており、以下特許庁ウェブページから閲覧可能です。
特許庁は、特許庁の業務や特許、意匠、商標等について、子供向けにわかりやすく説明した「とっきょちょうキッズページ」をウェブページで公開しています。
また、特許庁は、知財人材の育成と知財マインドの向上を目的に、対象者にあわせた知財の教材・参考書の作成・普及に取り組んでおり、これまでに作成した知財の教材・参考書を、ホームページ上で無料で提供しています。
特許庁は、若者などの幅広いユーザーへの効果的な情報発信のため、YouTube(JPO Channel)を用いた情報発信を行っています。
JPO Channelでは、「商標権はビジネスの基本」というメッセージの普及を目的としたアクション風動画「商標拳」、農林水産省との協力の下「農業」の切り口から知財を紹介する「特許庁にバズマフ襲来!? 知財愛を白石さん・野田さんにぶつけてみた!」、日本の十大発明家のエピソードを特許審査官がコミカルに紹介する「ここがすごいぞ!日本の十大発明家」など、幅広い層への知財の理解と促進のために作成された動画が公開されています。
JPO Channelによる各種動画は、以下リンクより閲覧可能です。
WIPO日本事務所は、2022年のWorld IP Dayのテーマ「IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション」の下、World IP Day当日に各界の著名人、若手発明家・起業家、学生からのご講演やパネルディスカッション等の配信からなる記念イベントをオンライン形式で開催します。イベントには、特許庁の森長官も登壇予定です。
WIPOは、2022年のWorld IP Dayのテーマ「IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション」の下、若手発明家やクリエイターを取り上げたビデオクリップを作成しました。特許庁は上述のFIT Japan IP Globalによる支援により、ビデオクリップ作成に協力しています。ビデオクリップで取り上げられている若手発明家やクリエイターは、WIPOが世界知的財産の日特設ユース・ギャラリーで公開している、より良い未来を築くための活動により世界中からノミネートされた若きチェンジメーカーです。また、ユース・ギャラリーには日本人の発明家やクリエイターも複数掲載されております。
ビデオクリップ及びユース・ギャラリーは以下リンクより閲覧可能です。
[更新日 2024年2月19日]
お問い合わせ |
<WIPOジャパンファンド・関連事業についてのお問い合わせ> 特許庁総務部国際協力課海外協力班 電話:03-3581-1101 内線2562 <その他のお問い合わせ> 特許庁総務部国際政策課国際機構班 電話:03-3581-1101 内線2561 |