ホーム> 支援情報・活用事例> 政府模倣品・海賊版対策総合窓口 > 知的財産権 Q&A > Q4. 特許権の均等論
ここから本文です。
A:
A社の模倣品が、あなたの会社の特許権を侵害するものとして、その販売差止めが認められるためには、A社模倣品で使用されている問題の技術が、当該特許権の効力のおよぶ範囲(技術的範囲)内にあると言えなければなりません。 この点、「技術的範囲」にあると言えるためには、特許請求の範囲として記載されている内容(構成要件)と、問題となっている技術の内容が同一であることが原則として必要となります。
しかし、上記の原則論を形式的に貫くとすると、ご質問にあるA社のように、他人の特許技術の内容をほんの一部分変更するだけで、特許権侵害にあたるとの特許権者からの主張を容易に免れることが可能となってしまいます。
そこで、上記のような問題点を解決するために、特許請求の範囲として記載された内容と、問題となる技術の内容とが一部異なっていたとしても、同じ技術的範囲内にあり、実質的同一であるものと評価する理論、いわゆる均等論と呼ばれる理論が提唱されることとなったのです。
かかる均等論について、最高裁は、平成10年2月24日の判決において、上記の均等論を肯定し、これが認められるための5つの基準を示しました。その基準をご質問の状況に当てはめると次のようになります。
このような最高裁の考えに従えば、上記5つの基準のすべてを満たす場合には、A社模倣品に使用されている技術は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、あなたの会社の特許技術の技術的範囲に含まれるものと言うことができます。
この点、ご質問からは、上記の基準を判断するための具体的事情は明らかではありません。しかし、あなたの会社の特許技術の内容のうち、模倣品に使用されている技術と異なっている部分は、とくに重要な部分ではないということですから、1の基準は満たしていると判断される可能性は高いものと思われます。よって、さらに具体的事情を検討し、2から4までの基準を満たしていると判断されれば、A社の模倣品に使用されている技術が、あなたの会社の特許技術を侵害するものとして、当該模倣品の販売差止めを行うことが可能となります。
特許権の技術的範囲は、特許庁の判定制度を利用して公式的な見解を求めることも可能です。
[更新日 2024年2月14日]
お問い合わせ |
政府模倣品・海賊版対策総合窓口(特許庁国際協力課 海外展開支援室) TEL:03-3581-1101 内線2575 |