ホーム> 制度・手続> 法令・施策> 法令・基準> 基準・便覧・ガイドライン> 故意によるものでないこと」による期間徒過後の救済について > > 「正当な理由」による期間徒過後の救済について> 「正当な理由」による期間徒過後の救済規定に係るガイドラインについてのQ&A【四法共通】
ここから本文です。
1-1:救済規定の概要に係るQ&A
1-2:救済の手続に係るQ&A
1-3:優先権の回復制度に係るQ&A
2-1:回復理由書に係るQ&A
2-2:回復理由書に添付すべき証拠書類に係るQ&A
3-1:「正当な理由があること(要件1)」に係るQ&A
3-2:「救済に係る手続の場合は救済手続期間内に手続をすること(要件2)」に係るQ&A
3-3:「優先権の回復の場合は出願及び優先権の主張を優先権の回復期間内にすること(要件2)」に係るQ&A
4-1:救済が認められた場合に係るQ&A
4-2:救済が認められなかった場合に係るQ&A
1-1:救済規定の概要に係るQ&A
1-1-1 期間徒過後の救済規定は、どの出願等について適用されますか。
A:期間徒過後の救済規定の適用対象は以下の表のとおりです。
救済規定 | 適用対象 | |
---|---|---|
1 | 外国語書面出願の翻訳文の提出 (特許法第36条の2第6項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に、翻訳文の未提出により取り下げられたものとみなされた特許出願 |
2 | 特許出願等に基づく優先権主張 (特許法第41条第1項第1号括弧書) |
平成26年改正法の施行の日(平成27年4月1日)以後にする特許出願に伴う優先権の主張 |
3 | パリ条約の例による優先権主張 (特許法第43条の2第1項、特許法第43条の3の3第3項(準用)、実用新案法第11条(準用)、意匠法第15条(準用)) |
平成26年改正法の施行の日(平成27年4月1日)以後にする特許出願又は実用新案登録出願に伴う優先権の主張 令和元年改正法の施行の日(令和3年4月1日)以後にする意匠登録出願に伴う優先権の主張 |
4 | 出願審査の請求 (特許法第48条の3第5項) |
平成26年改正法の施行の日(平成27年4月1日)以後に、出願審査の請求がなかったことにより取り下げられたものとみなされた特許出願 |
5 | 特許料及び割増特許料の追納 (特許法第112条の2第1項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に消滅したもの又は初めから存在しなかったものとみなされた特許権 |
6 | 外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出 (特許法第184条の4第4項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に、翻訳文の未提出により取り下げられたものとみなされた国際特許出願 |
7 | 国際特許出願における在外者の特許管理人の選任の届出 (特許法第184条の11第6項、実用新案法第48条の15第2項(準用)) |
平成27年改正法の施行の日(平成28年4月1日)以後に、特許管理人又は実用新案管理人の選任の届出がなかったことにより取り下げられたものとみなされた国際特許出願又は国際実用新案登録出願 |
8 | 実用新案登録出願等に基づく優先権主張 (実用新案法第8条第1項第1号括弧書) |
平成26年改正法の施行の日(平成27年4月1日)以後にする実用新案登録出願に伴う優先権の主張 |
9 | 実用新案登録料及び割増登録料の追納 (実用新案法第33条の2第1項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に消滅したもの又は初めから存在しなかったものとみなされた実用新案権 |
10 | 外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文の提出 (実用新案法第48条の4第4項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に、翻訳文の未提出により取り下げられたものとみなされた国際実用新案登録出願 |
11 | 意匠登録料及び割増登録料の追納 (意匠法第44条の2第1項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に消滅したもの又は初めから存在しなかったものとみなされた意匠権 |
12 | 商標権の更新登録の申請 (商標法第21条第1項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に消滅したものとみなされた商標権 |
13 | 後期分割登録料及び割増登録料の追納 (商標法第41条の3第1項) |
平成27年改正法の施行の日(平成28年4月1日)以後に消滅したものとみなされた商標権 |
14 | 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願 (商標法第65条の3第3項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に出願の期間を経過する更新登録の出願 |
15 | 書換登録の申請 (商標法附則第3条第3項) |
平成23年改正法の施行の日(平成24年4月1日)以後に申請の期間を経過する書換登録の申請 |
1-1-2 平成23年改正により、期間徒過後の救済規定において、救済要件が緩和されたとありますが、救済の可否のボ-ダ-ラインを明確にするため、対比的な事例を教えてください。
A:救済されるか否か、すなわち正当な理由に該当するか否かについては、個別事案の具体的な状況によるところが大きく、その案件における期間徒過の諸々の事情を総合して判断されることとなることから、ボーダーラインを示す具体的な事例を記載することは難しいと考えております。
今後、実際の案件に係る判断の積み重ねを経て、いかなる事例が正当な理由として救済され得るのかについて、具体的な事例を収集・分析してまいります。(1-1-6参照)
A:法改正前の「責めに帰することができない理由」とは、通常の注意力を有する当事者(原特許権者等)が通常期待される注意を尽くしてもなお避けることができないと認められる理由を示すと解されています。当事者に過失がある場合は、この「責めに帰することができない理由」があるとはいえないものと考えられています。
これに対し「正当な理由」は、「責めに帰することができない理由」よりも緩やかな要件と解されており、ガイドライン(3.1.1参照)では、期間内に手続をすることが求められる原特許権者等が、状況に応じて必要とされるしかるべき措置(以下「相応の措置」という。)を講じていたか否かによって判断される旨記載しています。相応の措置を講じていたといえる場合は、原特許権者の過失の有無にかかわらず、「正当な理由」があると判断されることになります。そのため法改正後は、過失があると判断されることにより従前救済されなかったような事例であっても、救済される場合があると考えられます。
例えば、期間徒過の原因となった事象が、期間管理のために利用したシステムの構造上の問題であってそれが利用者たる出願人や権利者が想定し得ないものであった場合や、出願人や権利者又は代理人が手続のために用いた補助者によるミスの場合は、従前は、過失があると判断され救済されない場合もありましたが、改正後は、出願人や権利者が相応の措置を講じていたか否かの観点から判断がなされることにより、より柔軟に救済され得るのではないかと考えられます。
A:我が国の特許法の定める要件の解釈にあたって、必ずしも諸外国における同種の規定を参酌しなければならないものではありませんが、期間徒過について「正当な理由」があることという要件は、EPOの採用するDue Care(相当な注意)等の考え方を参考に規定されたものですので、大きな違いはありません。
A:救済規定の対象となる期間は、翻訳文の提出のための期間ですが、国内書面提出期間内に国内書面の提出を行っていない場合は、翻訳文の提出とともに国内書面の提出をすることができます(ガイドライン5.(5)参照)。
1-1-6 平成23年改正法の施行日(平成24年4月)以降、「正当な理由」による期間徒過後の手続に関し、救済が認められた事例、認められなかった事例について、それぞれ代表的なものを教えてください。
A:[救済が認められた事例]
[救済が認められなかった事例]
1-1-7 出願審査の請求期間を徒過し回復理由書が提出された出願の情報を提供していますか。
A:特許庁ホームページ「出願審査の請求の回復申請状況表」において、出願審査の請求に係る回復理由書の提出がされた出願の出願番号をお知らせしています。なお、回復が認められた場合には、インターネット公報による特許庁公報(公示号)「インターネット利用による公報発行サイト(外部サイトへリンク)」に掲載されます。
1-2:救済の手続に係るQ&A
A:特許法第36条の2第6項の規定に基づき、所定の期間経過後であっても、翻訳文を提出することができます。
A:特許法第48条の3第7項において準用する同条第5項の規定に基づき、所定の期間経過後であっても、出願審査の請求をすることができます。
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項(同条第7項において準用する場合を含む。)の規定が適用されない場合】
A:審査請求期間は、特許法第48条の3第1項の規定に基づき、特許出願日から3年以内とされていますが、同条第2項の規定に基づき、当該出願が分割出願の場合は、かかる期間の経過後であっても、その分割の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができます。ただし、この期間に関する救済規定は適用されないことから、翻訳文を提出することができなかったことについて「正当な理由」があるときでも、審査請求期間経過後は、当該出願は取り下げたものとみなされ、当該出願が再び特許庁に係属することはありません。出願審査の請求期限に御留意ください。
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項(同条第7項において準用する場合を含む。)の規定が適用される場合】
A:平成26年改正法により、特許法第48条の3第1項又は第2項の規定による出願審査の請求の期間を徒過した場合の救済規定が設けられました。したがって、翻訳文の提出期間と出願審査の請求期間内に手続ができなかったことについて、それぞれ「正当な理由」があるときは、同法第36条の2第6項の規定に基づき、外国語書面出願の翻訳文を提出するとともに、同法第48条の3第5項(同条第7項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、出願審査の請求をすることができます。この場合、それぞれの救済手続期間(手続をすることができなかった理由がなくなった日から2月以内であって、かつ、所定の期間経過後1年以内(特許法施行規則第25条の7第5項、同規則第31条の2第4項))に手続を行う必要があります。どちらか一方の手続について救済が認められても、もう一方の手続の救済が認められない場合(救済手続期間を徒過したとき等)は、当該出願は取り下げたものとみなされ、結果的に期間徒過後の救済を受けることができないことになります。
A:翻訳文提出特例期間内に翻訳文を提出できなかった場合も、特許法第184条の4第4項の規定に基づき、当該期間の経過後であっても翻訳文を提出することができます。
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項の規定が適用されない場合】(1-1-4参照)
A:我が国を指定国に含む外国語特許出願は、その国際出願日にされた特許出願とみなされますが、この日から3年以内に出願審査の請求がなかったときは、その特許出願は取り下げたものとみなされます(特許法第48条の3第1項、第4項)。この期間を徒過した場合の救済規定は適用されないことから、国際出願日から3年を過ぎた後に特許法第184条の4第4項の規定により翻訳文の提出を行っても、審査請求期間を徒過しているため、既に取り下げたものとみなされている特許出願が回復されることはありません。
また、翻訳文の提出より先に、出願審査の請求をすることはできません(特許法第184条の17)ので、特許法第184条の4第4項の規定に基づき翻訳文の提出ができる期間内であっても、出願審査の請求期限に御留意ください。
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項の規定が適用される場合】(1-1-4参照)
A:平成26年改正法により、特許法第48条の3第1項又は第2項の規定による出願審査の請求の期間を徒過した場合の救済規定が設けられました。したがって、同法第184条の4第4項の規定に基づき、外国語特許出願の翻訳文を提出するとともに、同法第48条の3第5項の規定に基づき、出願審査の請求をすることができます(1-2-6参照)。
1-2-6 外国語特許出願の翻訳文提出期間と審査請求期間の関係について教えてください。
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項の規定が適用されない場合】(1-1-4参照)
A:出願審査の請求期間は特許出願の日から3年とされており、当該期間内に出願審査の請求がなかったときはこの特許出願は取り下げたものとみなされます。よって、国際出願日から3年を過ぎた後に救済規定に基づき翻訳文の提出を行っても、当該出願が再び特許庁に係属することはありません。すなわち、翻訳文を提出しても実質的に救済がされない期間があることになります(下記の図参照)。
また、国際出願日から3年を経過する前に救済規定に基づき翻訳文の提出を行っても、国際出願日から3年以内に出願審査の請求がされない場合は、当該出願は取り下げたものとみなされることになりますので、出願審査の請求期限に御留意ください(1-2-3、1-2-4、1-2-5参照)。
[翻訳文提出の救済手続期間と出願審査の請求期間の関係の概要図]
(備考)※国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出した場合、翻訳文提出期限は国内書面提出の日から2月
【平成26年改正法施行後の特許法第48条の3第5項の規定が適用される場合】(1-1-4参照)
A:平成26年改正法により、特許法第48条の3第1項又は第2項の規定による出願審査の請求の期間を徒過した場合の救済規定が設けられました。したがって、翻訳文の提出期間と出願審査の請求期間内に手続ができなかったことについて、それぞれ「正当な理由」があるときは、同法第184条の4第4項の規定に基づき、外国語特許出願の翻訳文を提出するとともに、同法第48条の3第5項の規定に基づき、出願審査の請求をすることができます。この場合、それぞれの救済手続期間(手続をすることができなかった理由がなくなった日から2月以内であって、かつ、所定の期間経過後1年以内)内に手続をする必要があります。どちらか一方の手続について救済が認められても、もう一方の手続の救済が認められない場合(救済手続期間を徒過したとき等)は、当該出願は取り下げたものとみなされ、結果的に期間徒過後の救済を受けることができないことになります。
また、国際特許出願については、翻訳文の提出よりも先に、出願審査の請求をすることはできません(特許法第184条の17)(1-2-7参照)。
A:救済手続期間の起算日である「手続をすることができなかった理由がなくなった日」とは、出願審査の請求については、出願審査請求書を特許庁に提出できる状態になった日です。国際特許出願については、特許法第184条の17の規定により、翻訳文の提出よりも先に、出願審査の請求をすることはできません。したがって、御質問のケースでは、出願審査請求書の作成が終わっても、翻訳文の完成を待たなければ特許庁に提出できる状態になったとはいえないことから、「出願審査請求書だけでなく、翻訳文も完成し、特許庁に提出できるようになった日」が出願審査請求書についての「手続をすることができなかった理由がなくなった日」と考えられます。
1-2-8 特許法第184条の4第4項の規定に基づき翻訳文を提出しようと思いますが、それと併せて、発明の新規性の喪失の例外の適用を受けるための手続をすることはできますか。
A:発明の新規性の喪失の例外の適用を受けるための申立て(申請書の提出)については、救済の規定が設けられていませんので、特許法第184条の4第4項の規定に基づき翻訳文を提出することができる期間内であっても、国内処理基準時(同法第184条の4第6項)の属する日後30日を経過した後は、手続をすることができません。
発明の新規性の喪失の例外の適用を受けるための証明書の提出期間については、出願人の責めに帰することができない理由により期間を徒過した場合の救済が規定されています(特許法施行規則第38条の6の3ただし書き)。したがって、特許法第184条の4第4項の規定に基づく翻訳文を提出する一方、特許法施行規則第38条の6の3ただし書きの規定に基づく発明の新規性の喪失の例外の証明書の提出をすることはできます。
1-2-9 特許法第184条の4第4項の規定に基づき、国内処理基準時の属する日後に翻訳文を提出することができる場合において、特許管理人によらず、在外者が直接手続をすることはできますか。
A:救済規定による翻訳文の提出の手続は、国内処理基準時の属する日後に行うものであることから、在外者の特許管理人の特例を規定した特許法第184条の11第1項の規定は適用されません。したがって、特許法第8条第1項の規定により、特許管理人によらなければ手続をすることはできません。
A:特許法第184条の11第8項には、第184条の4第4項の規定による翻訳文が提出された外国語特許出願については、同法第184条の11第2項から第7項までの規定が、適用されない旨規定されています。つまり、特許管理人の選任の届出を期間内にしていなくとも、特許管理人により翻訳文の提出を行えば、出願は取り下げたものとみなされることはありません。
1-2-11 特許権者でない者が、特許法第112条の2第1項の規定に基づき、特許料の追納による特許権の回復の手続をすることができますか。
A:特許法第112条の2第1項の規定に基づき特許料の追納による特許権の回復の手続をすることができる者は、追納期間内に特許料を追納しなかったことにより失った特許権の原特許権者又はその代理人のみとなります。
1-2-12 特許出願人でない者は、特許法第48条の3第5項の規定に基づき、出願審査の請求の手続をすることができますか。
A:特許法第48条の3第5項の規定に基づき、期間経過後に出願審査の請求をすることができるのは、特許出願人又はその代理人のみとなります。
1-2-13 原特許権者の代理人として、特許料の追納による特許権の回復に係る手続を行います。委任状の提出は必要ですか。
A:特許料の追納による特許権の回復の手続(特許料納付書及び回復理由書の提出)において、特許料納付書提出の手続は、代理人が行う場合でも代理権を証明する書面(委任状)の提出は必要ありません。なお、納付者が特許権者と異なる場合、特許料納付書に【その他】欄を設け「納付者は特許権者の代理人である」旨を記載してください。一方、回復理由書提出の手続を代理人が行う場合は、代理権を証明する書面(委任状)の提出が必要となります。ただし、当該代理人が特許料の納付者又はその代理人と同一である場合は代理権を証明する書面(委任状)の提出は必要ありません。
1-3:優先権の回復制度に係るQ&A
A:優先権の回復の規定における救済の主観的要件は、平成23年改正に整備した救済規定と同様に、特許法条約(PLT)の「Due care(相当な注意)」基準を採用し、これに相当するものとして特許法上「正当な理由がある」こととしました。
A:優先期間内に国際出願を提出できなかったことの理由として、各受理官庁は当該受理官庁が採用する「Unintentional(故意ではない)」基準又はより厳格な「Due care(相当な注意)」基準を満たすかを認定し優先権を回復します。御質問のように、国際段階において特許協力条約に基づく規則(PCT規則)26の2.3に基づき受理官庁に対し優先権の回復を請求し、「Due Care(相当な注意)」基準を満たしていると認定され受理官庁が優先権を回復した場合、原則として指定国としての日本においても、その優先権の回復は効力を有します。この場合、日本の指定官庁に対して、特段の手続は必要ありません。
なお、「Unintentional(故意ではない)」基準を認定し受理官庁が優先権を回復した場合には、指定国としての日本においては、優先権の回復の効力は有しませんが、日本の指定官庁に対し回復理由書を提出することで優先権の回復を請求することができます(2-1-3参照)。
A:御質問のような場合であっても、国際段階でなされた優先権主張について、日本の指定官庁に対し回復理由書を提出することで優先権の回復を請求することができます(2-1-3参照)。
2-1:回復理由書に係るQ&A
2-1-1 所定の期間内に手続をすることができずに救済を受けようとする場合、回復理由書はいつまでに提出すればよいですか。
A:所定の期間内に手続をすることができなかった理由について記載した回復理由書の提出は、当該期間内に手続をすることができなかった理由がなくなった日から2月以内で期間の経過後1年(商標に関しては6月)以内、すなわち、期間徒過後の救済手続をすることができる救済手続期間内に行わなければなりません。
A:回復理由書の提出は、当該正当な理由がないものとした場合における当該優先権の主張を伴う特許出願をすることができる期間の経過後2月又は当該優先権の主張に係るパリ条約第4条C(1)に規定する優先期間の経過後2月以内に行わなければなりません。
優先権の回復期間は、救済手続期間と異なり、期間徒過の理由がなくなった日(当該手続をすることができない状態から脱した日)を起算日としていませんので、御留意ください。
A:国内書面提出期間(翻訳文提出特例期間が適用される場合は、翻訳文提出特例期間)が満了する時の属する日後1月以内に回復理由書の提出を行わなければいけません。
ただし、国内書面提出期間内に出願審査の請求をした場合には、審査請求の日から1月以内に回復理由書の提出を行わなければいけません。(平成27年7月以後に出願審査の請求をした場合に限ります。)
なお、日本の指定官庁により優先権の回復が認められたとしても、国際段階で優先日から1年4月以内に優先権書類が提出されていないとき又は優先権書類の提出に代わる手続がされていないときは、日本の指定官庁に対し、国内書面提出期間が満了する時の属する日(優先日から2年6月の期間が満了する日)後2月以内に優先権書類を提出しないと、当該優先権主張はその効力を失いますので、御注意ください。
2-1-4 一度回復理由書を提出した後、理由を追加することはできますか。
A:一度回復理由書を提出した後であっても、原則として上記救済手続期間内であれば、回復の理由を追加することができます。追加する場合は、手続補正書、手続補足書又は上申書にて手続きを行ってください(2-2-5参照)。
A:期間徒過の原因となった事象は一つとは限られません。複数の事象が複合的に発生したことにより期間徒過に至ったといえる場合は、それらを合わせて、期間徒過の原因となった事象と位置づけ、回復理由書の中で具体的に記載してください。
2-1-6 回復理由書には、期間徒過の原因となった事象に関係する者について記載しなければならないとありますが、当該事件の出願人(権利者)と代理人について記載すればよいですか。
A:ガイドライン2.1(1)イの「措置を講ずべき者」は、出願人(権利者)や代理人ですが、(1)アの「事象に関係する者」は、出願人(権利者)や代理人には限られず、期間徒過の原因となった事象に関与している者全てについて記載します。例えば、その事象が出願人(権利者)や代理人以外の者の行動等に起因して発生したような場合には、その者についても記載することが必要です(ガイドライン脚注4参照)。
A:相応の措置を講じていたか否かの判断は、措置を講ずべき者全員の措置を考慮して判断することになります。そのため、代理人が複数いる場合については、全員について講じた措置の内容、時期がわかるように記載する必要があります。各代理人が講じた措置が同じである場合はまとめて記載することができます。
2-1-8 措置を講ずべき者(全員)の講じた措置を記載しなければならないとありますが、例えば、弁理士法人が措置を講ずべき者である場合は、どのように考えればよいですか。
A:法人が措置を講ずべき者に該当する場合は、実際に当該案件を担当する者の講じた措置を記載するとともに、弁理士法人として当該手続業務について責任を有する者の講じた措置についても記載することが必要となります(ガイドライン脚注20参照)。
2-1-9 回復理由書には、出願人等以外の第三者について記載しなければならないケースがありますが、個人を特定できる情報、例えば実名を記載する必要がありますか。
A:ガイドライン2.1(1)にあるとおり、事象に関係する者や措置を講ずべき者(全員)について、回復理由書に記載しなければなりませんが、その際、個人を特定できるような情報、実名等を記載する必要は必ずしもありません。ただし、ある特定の個人の陳述であることそれ自体が重要な場合等、個人を特定できる情報が必要な場合はこの限りではありません。
なお、特許法第186条第1項第5号の規定に基づき、「個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの」については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、閲覧等は制限されます。
2-1-10 救済手続期間内に提出した回復理由書に記載の「回復の理由」について、特許庁に対して直接内容の説明を行いたいのですが、どのような方法がありますか。
A:回復理由書の提出とともに、面接を希望する旨お知らせください。面接は、回復理由書に記載された内容を補足的に説明し、相互の理解を得るために実施するものです。面接においては、正当な理由に係る判断は行いません。また、同様の趣旨で行われる電話・ファクシミリ等による連絡も面接に準ずる手続として取り扱います。さらに、特許庁長官(方式審査専門官等)が回復理由書に記載の内容について説明を希望する場合は、特許庁側から面接等を要請する場合もあります。詳細は面接等のルール(PDF:351KB)を御確認ください。
2-1-11 回復理由書は電子出願ソフトから提出できますか。
A:平成28年4月1日から以下の手続に関する回復理由書は、電子出願ソフトを利用して提出することができます。
回復手続 | |
---|---|
1 | 外国語書面出願の翻訳文の提出(特許法第36条の2第6項) |
2 | 特許出願等に基づく優先権主張(特許法第41条第1項第1号括弧書) |
3 | パリ条約の例による優先権主張(特許法第43条の2第1項、特許法第43条の3第3項(準用)、実用新案法第11条(準用)、意匠法第15条(準用)) |
4 | 出願審査の請求(特許法第48条の3第5項) |
5 | 外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出(特許法第184条の4第4項) |
6 | 国際特許出願又は国際実用新案登録出願における在外者の特許管理人又は実用新案管理人の選任の届出(特許法第184条の11第6項、実用新案法第48条の15第2項(準用)) |
7 | 実用新案登録出願等に基づく優先権主張(実用新案法第8条第1項第1号括弧書) |
8 | 国際特許出願又は国際実用新案登録出願についての優先権主張(特許法施行規則第38条の14第3項、第6項(準用)、実用新案法施行規則第23条第7項(準用)) |
9 | 外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文の提出(実用新案法第48条の4第4項) |
上記の手続に係る回復理由書の提出については引き続き書面提出も可能ですが、書面提出の場合には電子化手数料の納付が必要です。電子化手数料の納付については、「書面で手続する場合の電子化手数料について」を御覧ください。
2-2 回復理由書に添付すべき証拠書類に係るQ&A
2-2-1 回復理由書に記載した事項のうち、どの事項について証拠書類の提出が必要となりますか。
A:ガイドライン2.1に基づき、回復理由書に記載すべき事項とされている内容については、原則としてその記載された事項全ての事実を裏付ける証拠書類の提出が必要となります。
A:ガイドライン2.2に記載されているとおり、提出された証拠書類は、特許法第186条第1項の規定に基づき、同項第5号又は第6号に該当する場合を除き、原則開示されることになります。よって、たとえ社外秘情報であったとしても、一度特許庁に提出された資料は、閲覧等の対象となります。社外秘情報に該当する部分については事前にマスキングをしてから提出してください。
なお、マスキングがされたことにより、正当な理由の有無を判断する上で必要な事項が明らかでなくなった場合は、特許庁長官(方式審査専門官等)から内容を確認するために面接等を要請されることもあります。
2-2-3 想定される証拠書類の中には、個人を特定する情報が含まれることがあります。かかる個人情報を提出した場合は、閲覧等を制限してもらえますか。
A:個人を特定する情報が特許法第186条第1項第5号に該当し、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認める場合、当該情報の閲覧等は制限されます。なお、救済の可否の判断に必要のない事項については、マスキングをしてから提出してください。
A:ガイドライン2.2に記載されているとおり、客観的な証拠を提出することが困難な場合であっても、可能な限り、回復理由書に記載した事項を裏付けるための証拠書類(例えば、業務に関係するメール、業務マニュアル、契約書の写しなど)を提出してください。
2-2-5 回復理由書に添付する証拠書類はいつまでに提出すればよいですか。一度証拠書類を提出した後、追加して提出することはできますか。
A:回復理由書に記載した事項を裏付ける証拠書類は、原則として救済手続期間内に提出しなければなりません。救済手続期間内であれば、一度証拠書類を提出した後であっても、証拠書類を追加して提出することができます。提出の手続は、手続補正書、手続補足書又は上申書にて行ってください(2-1-4参照)。
A:回復理由書に記載した事項が、判断を行うに十分であるかどうかの目安として、ガイドライン2.1に、回復理由書に記載すべき事項を挙げております。各事項について、できるだけ具体的かつ十分に記載をしていただければ、判断を行うに十分な記載であるといえます。
証拠書類に関しては、回復理由書に記載すべき事項に該当する部分を裏付ける証拠書類が提出されている必要があります。各事項について、証拠書類を用意した上で、さらに他の証拠を収集すべきか迷われるときは、回復理由書の中で、提出し得る証拠書類の内容に言及してください。
回復が認められるかどうかの判断をする際に、他の証拠書類を参酌する必要があるときは、面接等の中で釈明のための証拠書類の提出を追加的に求めることもあります。
2-2-7 回復理由書に記載した事項の証明のために、公的な証明書の交付を申請しましたが、救済手続期間内に入手ができませんでした。どうしたらよいですか。
A:救済を求める出願人等は、原則として回復理由書の記載を裏付ける証拠書類も含め、救済手続期間内に提出しなければなりません。
証明書の交付を申請したにもかかわらず、救済手続期間内に入手することができなかった場合には、可能な限り準備できる証拠書類(証明書交付申請書の写し、領収書、陳述書等)を救済手続期間内に提出する一方で、提出を予定している証明書の名称、提出予定日、期間内に提出できない理由についても回復理由書に記載してください。
必要に応じて、期間内に提出された回復理由書及び証拠書類により主張立証された範囲内で、面接等の場においてかかる証明書に基づく釈明をすることができます。
A:特許法施行規則第2条第2項の規定に基づき、回復理由書に添付された証拠書類は、原則、その翻訳文を提出しなければなりません。証拠書類が大部である場合にはその全てを翻訳する必要はありませんが、回復理由書に記載した事項を裏付けるために必要な部分については翻訳文を添付してください。証拠書類のうち、翻訳文が添付されていない部分については、判断の基礎とされないことがありますので、御留意ください。
また、証拠書類の翻訳文は、原則として、回復理由書に添付する証拠書類に添付してください。
3-1:「正当な理由があること(要件1)」に係るQ&A
3-1-1 所定の期間内に手続又は優先権主張を伴う出願をすることができなかった理由がどのようなときに、それが「正当な理由」であると認められるのですか。
A:所定の期間内に手続をすべき者(=措置を講ずべき者(ガイドライン3.1.5))が、期間徒過の原因となった事象の発生前及び発生後に講じた措置(ガイドライン3.1.4)が、状況に応じて必要とされるしかるべき措置であったといえるときに、所定の期間内に手続をすることができなかった理由は正当な理由であると判断されます。
3-1-2 所定の期間内に手続又は優先権主張を伴う出願をすることができなかったことに正当な理由があることという要件は、特許庁長官はいかなる情報から判断するのですか。
A:特許庁長官は、出願人等が救済手続期間内に提出した回復理由書に記載された事項とそれを裏付ける証拠書類に基づき事実を認定し、正当な理由があったといえるか否かを判断します。
A:ガイドライン3.1.3(1)冒頭の「期間徒過の原因となった事象が予測可能であるといえる場合」については、脚注11に記載されているとおり、事象の発生時期だけでなく、その発生による影響が予測可能である場合が「期間徒過の原因となった事象が予測可能であるといえる場合」に該当します。
よって、御質問のようなケースは、台風の発生により通常予測できる状況を超える被害により手続をすることができなかったような場合は、ガイドライン上の「期間徒過の原因となった事象が予測可能であるといえる場合」に該当しないと考えられます。
A:救済されるか否か、すなわち正当な理由に該当するか否かについては、個別具体的な事情によるところが大きく、諸々の事情を総合して、状況に応じて必要とされるしかるべき措置を講じていたか否かによって判断されることになります。そのため、システムの誤告知による期間徒過が正当な理由に該当するかどうかは一概にはいえませんが、ガイドラインの3.1.4(1)【システムの不具合等を起因とする場合】に記載されているとおり、システムの不具合やシステムの構造がシステムの利用者たる出願人等が想定し得ないものであるといえる場合であって、当該システムの選定及びシステムの導入のための作業が適切であるといえるときは、正当な理由に該当すると判断されることとなります。
3-1-5 期間管理のために利用していたシステムに設計上の瑕疵があることが発見されました。このシステム設計上の瑕疵が原因となって期間を徒過してしまった場合は、「正当な理由」に該当しますか。
A:上記3-1-4の回答のとおり、正当な理由に該当するかどうかは一概にはいえませんが、原則、出願人等が相応の措置を講じていたことが主張立証されていれば、「正当な理由」に該当すると判断されることとなります。
A:ミスを犯した者が出願人等ではなく、彼らの業務を補助する補助者(ガイドライン3.1.5(5)参照)であるときは、補助者を管理監督する出願人等が講じた措置が相応な措置であるといえる場合に限り、例外的に正当な理由に該当すると判断されることとなります。
3-1-7 複数の特許出願をしているため案件毎に担当者を設けていますが、ある担当者が病気等の理由により、急遽休暇を取ってしまったため、期間を徒過してしまったような場合は、「正当な理由」に該当しますか。
A:案件の担当者が病気等により不在になることで、手続業務の遂行が一時的に滞ることはありますが、このような場合、担当者以外の者(代替者)が速やかに業務を引き継ぐことができる体制が設けられていることが相応の措置として求められます。よって、代替者を手配する体制はあったものの代替者が手続をする前に期間徒過に至ったといえる場合、代替者の手配が困難な事情があるといえる場合、又は代替者になり得る者がいない場合等を除き、正当な理由に該当するとはいえません。
3-1-8 法令の誤った解釈により、起算日を誤り、期間を徒過してしまったような場合は、「正当な理由」に該当しますか。
A:ガイドライン脚注10に記載されているとおり、法令の不知や誤解釈により期間徒過に至った場合は、原則として「正当な理由」があるとはいえません。
A:正当な理由に該当するか否かについては、個別事案の具体的な状況によるところが大きく、その案件における期間徒過の諸々の事情を総合して判断されることとなります。
御質問のように、特許庁に対する手続の全てを代理人に委任しているような場合であっても、所定の期間内に手続をするために、出願人等及び代理人が講じていた措置が、状況に応じて必要とされるしかるべき措置(以下「相応の措置」という。)であったか否かについて各々判断されます。
すなわち、代理人が相応の措置を講じていたものと認められる場合であっても、期間徒過について「正当な理由」があると認められるためには、出願人等が、手続をするために講じていた措置が相応の措置であったと判断されることが必要となります。
なお、手続を代理人に委任しているような場合の出願人等に対する判断は、代理人の選任が適当であったか否か、その上で、出願人等の対応が適当であったか否かという観点で行われます。代理人の事情を知り得なかったといえる場合、通常は、出願人等が期間内に手続をしなかったことをもって、相応の措置を講じていなかったものとはされません。
A:御質問の業務を行う者は、ガイドライン3.1.5(5)に記載されている補助者であるといえます。よって、補助者を管理監督する出願人等が、補助者として適任な者を選任しており、補助者に対し的確な指導及び指示を行っており、かつ補助者に対し十分な管理・監督を行っていることが、回復理由書の中で主張立証されたときは、期間徒過の原因となった事象の発生前に講じた措置は相応の措置であると判断されます。さらに、期間徒過の原因となった事象の発生後、期間徒過に至らないようにするための措置が相応の措置であったか否かについて判断されます。ただし、期間徒過の原因となった事象の存在を知った日(知るべきであった日を含む。)が期間徒過後となる場合は、措置を講じることは不可能であることから、かかる措置を講じていなかったことをもって相応の措置を講じなかったものとはされません。
3-1-11 出願人等が複数います。「正当な理由」があると認められるためには、全員が相応な措置を講じていたと認められる必要がありますか。
A:ガイドライン3.1.5(2)に記載されているとおり、各人がそれぞれ相応の措置を講じていたと判断される必要があります。全員が相応の措置を講じていたといえるときに、正当な理由があると判断されることとなります。相応の措置の内容については、各人の置かれた状況によって異なります。
A:期限が誤っていることに気がつかずに手続をした場合であっても、弁明書の提出とは別に回復理由書の提出が必要です。弁明書をもって回復理由書に代えることはできません。なお、回復理由書の提出は救済手続期間内に行わなければなりません。
A:特許法第184条の4第4項は、同条第3項の規定により、国内書面提出期間内に翻訳文の提出がなかったことにより、取り下げられたものとみなされた国際特許出願の出願人に、期間内に翻訳文を提出することができなかったことについて正当な理由があるときに、期間徒過後の翻訳文の提出を許容する規定です。国内書面提出期間内に国内書面を提出することができなかったことを救済する規定ではありません。
しかし、お問い合わせのケースにおいては、国内書面提出期間内に翻訳文を提出することができなかったことは当該期間内に国内書面を提出できなかったことに起因することから、当該期間内に国内書面を提出することができなかった理由も含めその他諸々の事情を総合的に勘案し、翻訳文を提出することができなかったことについて「正当な理由」があると認められるときは、特許法第184条の4第4項の規定により、国内書面提出期間徒過後に翻訳文を提出することができます。
なお、この場合であっても国内書面の提出は必要です。国内書面は翻訳文の提出とともに提出してください(1-1-5参照)。
A:期間内の翻訳文の完成を阻害する事象が、同時に期間内の国内書面の提出も阻害するものであって、かつ、当該事象の止んだ日が、国内書面提出期間徒過後である場合は、当該期間内に翻訳文を提出することができなかったことについて正当な理由があるといえるとき、期間徒過後の翻訳文の提出は認められる可能性があります。
しかし、外国語特許出願については、特許法第184条の4第1項に規定する国内書面提出期間満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出した場合、その提出の日から2月(翻訳文提出特例期間)の翻訳文提出期間を担保することができることとされています。そのため、手続をすることができなかった直接の原因が解消された日が、国内書面提出期間満了前であって、国内書面の提出が可能である場合は、直ちに国内書面を提出する必要があります。
期間内に国内書面を提出することが可能であったにもかかわらず、当該書面の提出をしていないときは、出願人等が期間内に翻訳文を提出するために講ずべき相応の措置を講じていたとは言えないことから、その場合には、当該期間内に翻訳文の提出をすることができなかったことに「正当な理由」があるとは認められないものと考えられます。
3-2:「救済に係る手続の場合は救済手続期間内に手続をすること(要件2)」に係るQ&A
A:理由がなくなった日から2月以内であったとしても、所定の期間経過後1年(商標に関しては6月)を超える場合は、救済のための手続をすることはできません。
A:ガイドライン3.2.2に記載されているとおり、当該手続のための書面を特許庁に提出できる状態になった日が「手続をすることができなかった理由がなくなった日」に該当します。そのため、翻訳文提出の手続であれば、翻訳文を特許庁に提出できる状態になった日、すなわち翻訳文が完成した日が「手続をすることができなかった理由がなくなった日」に該当します。
このような場合は、出願人等は、回復理由書に、直接の原因が解消された日(期間徒過の原因となった事象の止んだ日)について記載の上、翻訳文が完成した日を「理由がなくなった日」として記載してください。また、翻訳文を作成することができなかった期間についても考慮しますので、その始期と終期も記載してください。
翻訳文の完成に、必要以上の期間がかかっていると判断できるような場合には、期間徒過の原因となった事象の発生後に講じた措置は相応の措置とはいえないと判断されることもあります(ガイドライン3.1.4(2)参照)。
A:特許料納付書の手続は、特許料等を納付するための手続であり、料金の納付がされていない納付書は、特許法第18条の2の規定により却下される対象となります。したがって、納付書に記載の予納口座に納付すべき特許料等の見込額が納付されていない場合は、適法に特許料納付書を提出したこととはなりません。救済を求めるためには、救済手続期間内に特許料納付書の提出がされていることが要件となりますので、予納台帳の残高が不足することのないよう御注意ください。
A:回復理由書には「手続をすることができなかった理由がなくなった日」について記載しなければなりませんが、回復理由書に記載された「理由がなくなった日」が適切であるかどうかについては、特許庁長官が判断を行ったうえで、記載の日付とは異なる日が「理由がなくなった日」とされることもあります。
したがって、記載の日付から2月以内であれば、必ずしも救済を求める時期的要件(要件2)が満たされるわけではありません。回復理由書の記載の内容に基づき、相応の措置を講じてさえいれば、記載の日付よりも早い時期に、所定の期間内にすることができなかった手続をすることができただろうと判断される場合は、時期的要件を遵守していないとして、救済が認められないこともあります。
3-2-5 期間徒過に気がつかずに手続をしたような場合において、救済手続期間の起算日である「手続をすることができなかった理由がなくなった日」は、どのように考えればよいですか。
A:ガイドライン3.2.2に記載されている所定の期間内に「手続をすることができなかった理由がなくなった日」を判断する前提として、ガイドライン2.1脚注3に記載されている「事象の止んだ日」を考慮する必要があります。
例えば、誤った期限がシステムにより告知されたときは、期限が誤りであったことを知った日又は知るべきであった日が「事象の止んだ日」に該当します。そして、期限の誤りをその時点で知ることができれば、翻訳文の作成期間等を考慮する場合を除き、直ちに当該手続をすることはできることから、「理由がなくなった日」は、正しい期限を知った日であるということができます。
なお、通常は、相応の措置を講じていれば、告知された期限内に実際に手続をする準備を行う段階で期限が誤りであったことを知り得ることが多いと考えられることから、御質問のケースのように期間徒過に気がつかずに手続を行った場合であっても、実際に手続準備に入った日が、期限が誤りであったことを知るべきであった日、すなわち「事象の止んだ日」に該当し、さらに「理由がなくなった日」に該当すると考えられることもあります。
3-3:「優先権の回復の場合は出願及び優先権の主張を優先権の回復期間内にすること(要件2)」に係るQ&A
A:優先権の回復期間を経過した後は、回復理由書を提出することはできません。期間を経過して回復理由書が提出されても、回復理由書の記載された事項等に基づいた「正当な理由」の判断は行わず、当該優先権の回復は認められません。
優先権の回復期間は、救済手続期間と異なり、期間徒過の理由がなくなった日(当該手続をすることができない状態から脱した日)を起算日としていませんので、御留意ください。
4-1:救済が認められた場合に係るQ&A
4-1-1 救済が認められた場合には、特許庁からその旨通知がありますか。
A:救済が認められる場合には、期間徒過後になされた手続は許容され、救済が認められた旨の通知書が送付されます。
A:ある年分の特許料の納付につき救済が認められたとしても、それ以降の年分の特許料の納付まで救済されるわけではありません。したがって、4年分の特許料につき救済が認められる前であっても、第5年分の特許料については期限までに納付の手続を行ってください。なお、救済が認められなかった場合は、次の年金納付の手続は権利消滅後の手続として却下され、納付者の返還請求によって納付された特許料も返還されます。ただし、予納制度を利用して納付したときは、却下処分が確定次第、返還請求の手続きを経ることなく予納台帳に返納されます。
なお、当庁から納付期限のお知らせ等は行いませんのでご注意ください。
回復理由書を提出した後の注意事項の詳細は、「回復理由書を提出された後の注意事項について(お知らせ)」(PDF:119KB)
をご確認ください。
4-2:救済が認められなかった場合に係るQ&A
4-2-1 救済が認められなかった場合には、特許庁からその旨通知がありますか。
A:救済が認められない場合、救済規定に基づき行われた期間徒過後の手続について、救済が認められないと判断した理由を記載した却下理由通知書が送付されます。なお、却下理由が通知された場合、出願人等は書面により弁明する機会が与えられます。
4-2-2 期間徒過後の手続について、救済が認められない理由を記載した当該手続の却下理由通知書を受け取りましたが、その判断に納得できません。この判断の当否を争う方法はありますか。
A:却下理由通知書が送達された日から2月以内であれば、弁明書の提出をする機会が与えられます。その後、弁明書の内容を考慮してもなお、救済が認められないときは、期間徒過後の手続について手続却下の処分の謄本が送達されます。
手続却下の処分の謄本に記載されている救済が認められない理由に不服がある場合は、当該手続却下の処分について行政不服審査法に基づく審査請求又は行政事件訴訟法に基づく処分に対する訴えを提起することができます(ガイドライン脚注28参照)。
[更新日 2024年5月31日]
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