ホーム> 制度・手続> 法令・施策> 法令・基準> 基準・便覧・ガイドライン> 「故意によるものでないこと」による期間徒過後の救済について
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令和5年2月13日
特許庁
(注)「故意によるものでないこと」による期間徒過後の救済は、令和5年4月1日以降に期間徒過をした手続が対象です。
(*)例えば、消滅した特許権の回復申請については、施行日(令和5年4月1日)以降に特許料の追納期限を迎え、消滅した案件が対象となります。
令和5年3月31日以前に期間徒過をした手続については、以下のリンク先をご参照ください。
「正当な理由」による期間徒過後の救済について(令和5年3月31日以前に期間徒過した手続)
令和5年4月1日付でその一部が施行される、特許法等の一部を改正する法律(令和3年法律第42号)により、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと(以下、「故意でない基準」という。)」に緩和されるとともに、回復手数料の納付が必要になります。
権利回復の要件の変更に係る手続は、「特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」の一部として措置されました。措置の具体的内容は、以下2~8の通りです(5-1.回復手数料は、特許法等関係手数料令の改正により措置)。
法域 | 対象手続及び根拠条文 | 権利の回復に係る手続である旨の記載方法(※) |
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特許 | (1)外国語書面出願の翻訳文の提出(特許法第36条の2) |
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(2)特許出願等に基づく優先権主張(特許法第41条) |
願書に記載して優先権主張をする場合
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(3)パリ条約の例による優先権主張(特許法第43条の2) |
願書に記載して優先権主張をする場合
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(4)出願審査の請求(特許法第48条の3) |
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(5)特許料及び割増特許料の追納(特許法第112条の2) |
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(6)外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出(特許法第184条の4) |
翻訳文を添付して国内書面を提出する場合
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(7)国際特許出願における在外者の特許管理人の選任の届出(特許法第184条の11) |
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実用 | (8)実用新案登録出願等に基づく優先権主張(実用新案法第8条) |
願書に記載して優先権主張をする場合
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(9)パリ条約の例による優先権主張(実用新案法第11条で準用する特許法第43条の2) |
願書に記載して優先権主張をする場合
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(10)実用新案登録料及び割増登録料の追納(実用新案法第33条の2) |
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(11)外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文の提出(実用新案法第48条の4) |
翻訳文を添付して国内書面を提出する場合
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(12)国際実用新案登録出願における在外者の実用新案管理人の選任の届出(実用新案法第48条の15で準用する特許法第184条の11) |
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意匠 | (13)パリ条約の例による優先権主張(意匠法第15条で準用する特許法第43条の2) |
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(14)意匠登録料及び割増登録料の追納(意匠法第44条の2) |
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商標 | (15)商標権の更新登録の申請(商標法第21条) |
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(16)後期分割登録料及び割増登録料の追納(商標法第41条の3) |
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(17)防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願(商標法第65条の3) |
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(18)書換登録の申請(商標法附則第3条) |
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※国際特許出願及び国際実用新案登録出願に係る優先権主張の回復手続((2)(3)(8)(9))は回復理由書のみを提出してください。
所定の手続期間内に手続をすることができなかったことが「故意によるものでない」ときは、期間徒過後の手続ができるようになった日から2月以内かつ手続期間の経過後1年以内(商標に関しては6月以内。)(以下、「救済手続期間」という。)に所定の期間内に行うことができなかった手続をするとともに、手続をすることができなかった理由を記載した回復理由書を提出してください。
ただし、優先権の主張については、当該優先権の主張を伴う出願をすべき期間の経過後2月以内にその出願をする必要があります。また、国際特許出願又は国際実用新案登録出願の優先権を主張し指定官庁としての特許庁において優先権の回復をしようとする場合の回復理由書の提出期間は、国内書面提出期間(翻訳文特例期間が適用される場合は、翻訳文提出特例期間)が満了する時の属する日後1月(国内書面提出期間内に出願審査の請求をした場合はその請求の日から1月)以内です。
回復理由書の【回復の理由】の欄には、「(1)所定の期間内に手続をすることができなかった理由及び手続をすることができるようになった日」を簡明に記載し、併せて「(2)手続をしなかったことが故意によるものでない」ことを表明してください。
なお、出願審査の請求の回復理由書の場合は「(3)出願審査の請求を遅延させることを目的とするものではなかった旨」が分かるように記載してください。
所定の期間内に手続をすることができなかった理由を簡明(数行程度)に記載してください。
また、救済手続期間内の手続か否かを判断するため、手続をすることができるようになった日※を記載してください。
※通常、期間徒過に気づいた日に手続をすることができるようになったと考えられます。
出願人又は権利者において、期間を徒過したことが故意によるものでない旨を表明してください。
記載例:所定の期間内に手続をしなかったのは、故意によるものではありません。
出願審査の請求に係る回復理由書を提出するときは、出願審査の請求を遅延させることを目的とするものではなかった旨が分かるように記載してください。
なお、出願審査請求の回復が認められた案件については、審査の着手期限を「当該出願審査請求が出願審査の請求期間満了時にされたもの」と同じ扱いとしますので、回復が認められたとしても審査の着手が遅延することにはなりません。
また、4-1、4-2及び4-3において、回復理由書に記載された事項を裏付ける証拠書類の提出は必須とはしませんが、必要があると認める場合(本制度の濫用が疑われる場合や回復理由書に記載された事項に疑義がある場合等)は、追って証拠となる書類を求める場合があります。
故意でない基準により回復理由書を提出する際には、回復手数料を納付しなければなりません。
手続期間内に手続をすることができなかった理由について、手続をする者の責めに帰することができない理由※(以下、不責事由という。)があり、かつ、その事実を証明する書面により不責事由が確認できる場合は、回復手数料が免除されます。
不責事由による救済の申出をする場合、回復理由書の提出と同時に、上申書の【上申の内容】の欄に、当該手続をすることができなかった理由が不責事由に該当することを具体的かつ十分に記載して提出するか、回復理由書の【回復の理由】の欄の次に【その他】の欄を設けて、当該理由を記載して提出してください。
また、当該手続から2月以内に、記載した事実を裏付ける証拠書類の提出が必要です(上申書により提出してください。)。
※不責事由による救済の要件に関しては、方式審査便覧04.04その責めに帰することができない理由による期間徒過後の救済について(PDF:168KB)の「2.救済されるための要件」を参照してください。
※新型コロナウイルス感染症により影響を受けた手続における「その責めに帰することができない理由」による救済については、「新型コロナウイルス感染症により影響を受けた手続における『その責めに帰することができない理由』、『正当な理由』、『故意によるものでないこと』による救済について」を参照してください。
出願人等から救済の対象となる手続書面と回復理由書が期間徒過後の所定の期間内に提出されているか、回復手数料が納付されているか、「故意でない基準」を満たすかを検討し回復の判断をします。
出願人等が手続をしないと判断して所定の期間を徒過した後、期間徒過後に状況の変化などを理由に救済手続をすることとした場合は、手続をすることができなかった理由が「故意によるものである」と判断され救済が認められない可能性があります。
期間を徒過した理由が「故意に手続をしなかった」と判断され、救済が認められない可能性がある事例を以下に示します。
なお、以下の事例と一致しない場合に、救済が認容されることを保証するものではありません。
【事例1】期間徒過後の社内の方針転換
出願審査の請求手続:出願人の例
特許出願を行ったが、出願審査の請求期限までに出願審査の請求の要否を社内検討した結果、不要と判断した。
出願審査請求期間の徒過後、社内の方針転換により、出願審査の請求を行うこととしたため、回復理由書を提出した。
【事例2】現地代理人の支払い遅延
国内移行手続:出願人の例
現地代理人は出願人に国内移行手続を案内するにあたり、出願人が従来から料金の支払いが遅れがちであるため、国内移行手続を指定国の代理人に依頼する条件として、依頼期限までに料金の事前支払いを行うことを明示して、電子メールで依頼した。
現地代理人は、出願人から、「国内移行手続をしない判断をした場合には、依頼期限までに料金の事前支払いをしない」旨の電子メールを受領した。依頼期限までに料金支払いがなかったことから、翻訳文の提出を含む国内移行手続を指定国の代理人に依頼しなかった。
その後、出願人から、国内移行期限を徒過した後に国内移行手続を行う判断をしたため回復申請をしたい旨の連絡があり、料金の支払いがあったため、回復理由書を提出した。
【事例3】権利放棄決定後の他社からの照会
特許料納付手続:特許権者の例
社内で特許権の必要性について検討をした結果、維持しない判断としたため特許料の納付、追納を行わなかった。
追納期限の徒過後、他社が消滅した特許権に関心を示したので、権利を維持するよう方針転換し、回復理由書を提出した。
【事例4】金銭的事情による経営判断
特許料納付手続:特許権者の例
経営状況が厳しく、金融機関に融資の申し込みを行ったが融資を受けられなかった。
社員の雇用を優先するために特許権を維持しないと判断し、特許料の納付を行わなかった。
追納期限の徒過後、融資を受けられ経営状況が改善したので、特許権を維持するよう方針転換し、回復理由書を提出した。
【事例5】廃業後の後継者の就任による事業再開
商標権の更新手続:商標権者の例
申請人(サービス業)は、商標権を有していたが、後継者がいないことから廃業することにした。
廃業するので商標権の更新登録申請は必要ないため、手続を行わなかった。
更新登録申請の手続期限の徒過後、後継者が就任することになり事業を継続することとなったため、回復理由書を提出した。
【事例6】共有者との調整不足による手続徒過
特許料納付手続:特許権者が共有者の例
権利者AとBの二者共有の特許権について、二者間で権利維持について調整が難航し、結果的に特許権の維持を諦める判断をした。
追納期限の徒過後、AとBが特許権の維持について方針転換をし、納付手続等の委細合意に至ったため、回復理由書を提出した。
【事例7】納付書の不備にかかる指令に対応せず手続却下された場合
特許料納付手続:補充指令に応答がなかった例
特許料の年金納付書の内容に不備があり補充指令を受けたが、権利維持の必要性がなくなったため補充手続を行わず、納付書が手続却下となった。追納期限の徒過後、権利を維持したいと考えを改めたため、回復理由書を提出した。
*1 救済の対象となる手続書面には、【その他】欄を設け、権利の回復に係る手続である旨を記載します。(手続書面ごと権利の回復に係る手続である旨の記載方法は、○対象手続(全18書類)及び手続書面における権利の回復に係る手続である旨の記載方法一覧をご覧ください。)
*2 所定の期間内に手続をすることができなかった理由として、期間徒過をした原因や経緯について簡明に記載してください。また、手続をすることができるようになった日についても記載してください。
*3 出願人又は権利者において、期間を徒過したことが故意によるものでない旨を表明してください。
*4 出願審査請求書に対する回復理由書を提出するときは、出願審査の請求を遅延させることを目的とするものではなかった旨が分かるように記載してください(救済の対象となる手続書面が出願審査請求書以外の場合は不要です。)。
(注)*2,3,4については、4.回復理由書に記載すべき事項を参照の上、簡明に記載してください。
*5 故意でない基準により回復理由書を提出する際には回復手数料が必要です。(5-1.回復手数料を参照し、手続に応じた手数料を納付してください。)
記載例 特許権の回復手続を代理人が行う場合の特許料納付書(オンラインにより提出)及び回復理由書(書面)
詳細は、「権利維持のための特許(登録)料の納付の流れについて」の「H. 追納期間徒過後の権利の回復とは・・・」や「「故意でない基準」により、設定登録後の権利を回復するための回復理由書を提出する場合の注意事項 (PDF:125KB)」をご確認ください。
(注意)
回復の認否の結果が出るまでの間に、後続の納付年分の納付期限が到来する場合があります。回復が認められることを前提に納付をしないと、割増登録料が必要になったり、回復と同時に権利が消滅してしまうため、納付忘れにご注意ください。
なお、当庁から納付期限のお知らせ等は行いませんので、その点もご注意ください。
注意事項の詳細は、「回復理由書を提出された後の注意事項について(お知らせ)」(PDF:119KB)
をご確認ください。
Q1:令和5年4月1日の法施行により「正当な理由があること」から「故意でない基準」に要件が緩和されましたが、経過措置について教えてください。
A1: 令和5年4月1日以降に手続期間を徒過した手続が「故意でない基準」の対象となります。令和5年3月31日以前に手続期間を徒過した手続は、「正当な理由があること」が回復要件となります。
◆具体例(審査請求期間徒過の救済の場合):
・令和5年3月31日に審査請求期間の末日を迎える場合
⇒翌日令和5年4月1日に手続期間を徒過したことになるため、改正法が適用され、「故意でない基準」の救済対象となります。
・令和5年3月30日に審査請求期間の末日を迎える場合
⇒翌日令和5年3月31日に手続期間を徒過したことになるため、旧法が適用され、「正当な理由があること」が回復要件となります。
「正当な理由があること」による救済手続の詳細は「期間徒過後の救済規定に係るガイドライン(令和3年4月26日改訂版)(PDF:831KB)」を参照してください。
Q2: 回復手数料の免除と割増特許(登録)料の免除の両方を申請することはできますか。
A2:可能です。「回復手数料の免除」の要件等は上記5-2のとおりですが、「割増特許(登録)料の免除」を受けるためには、納付期間又は納付の猶予後の期間内に不責事由があることを要します。詳しくは「権利維持のための特許(登録)料の納付の流れについて」をご確認ください。
Q3:回復申請を、多件一通で行う場合、回復手数料はいくらかかりますか。
A3:回復する手続ごとに手数料が必要となるため、案件の件数分の手数料が必要となります。
Q4:1件の出願において、複数の優先権主張の回復申請を考えています。回復手数料は回復申請する優先権主張の件数分必要ですか。
A4: 複数の優先権主張について回復申請をする場合は、回復申請する優先権主張の件数分の手数料が必要となります。優先権主張ごとに回復理由書を作成し、回復手数料を納付してください。
Q5: 期間を徒過した理由が「故意に手続をしなかったものである(故意によるものである)」と判断され、回復申請が認められなかった場合、回復手数料の返還請求はできますか。
A5:「故意でない基準」による救済が認められない場合、回復理由書に対して、救済が認められないと判断した理由を記載した却下理由通知書(補正をすることができない不適法な不備があると判断された場合に送付される通知書) が送付されます。却下理由が通知された場合、出願人等は書面により弁明する機会が与えられますが、その後、弁明書の内容を考慮してもなお、救済が認められないときは、期間徒過後の手続について手続却下の処分の謄本が送達されます。手続却下の処分後に、回復手数料の返還請求を行うことが可能です。
一方で、回復理由書に対して手続補正指令書(補正を行うことで不備を解消できる場合に送付される指令書)が送付された後に、補正を行わず不備が解消されない理由で手続却下の処分となった場合には、回復手数料の返還請求を行うことはできませんのでご留意ください。
Q6:代理人が回復理由書を提出します。委任状の提出は必要ですか。
A6:(設定登録後の案件)
原則必要です。また、回復理由書と同時に提出する特許料納付書に対しては委任状の提出は不要です。
(係属中及び期間徒過により取り下げたものとみなされた案件)
事件の代理人が、回復理由書を提出する場合は、委任状の提出は不要ですが、新たな代理人が回復理由書を提出する場合は、委任状の提出が必要です。
Q7:PCT国際出願についても、優先権の回復申請を受理官庁である日本国特許庁に提出する場合に優先権の回復制度の回復要件が「故意でない」基準に緩和されるのでしょうか。
A7:回復基準を緩和しました。詳細は令和5年4月1日以降に優先期間を徒過した国際出願の優先権の回復(「故意ではない」基準)をご確認ください。
[更新日 2024年5月31日]
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