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イノベーションの推進には、女性や若者を含め、人材の強みを活かすことが重要です。このような考えの下、知財の分野では、近年、世界的に多様性と包摂性を促進する動きが高まっています。
特許庁(JPO)は、この課題の重要性を認識し、様々な背景や価値観をもった一人ひとりが、創造力を発揮したくなる社会を実現するために、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進する取組を進めています。特許庁内の組織横断的なメンバーから構成される「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)チーム」は、2023年以来、知財関係者へのインタビュー等を通じて、キャリアビジョンの形成を支援する活動に取り組んでいます。また、「多様な個性を尊重し、かけ合わせ、お互いを高め合う」ことの重要性を改めて認識し、2024年6月には、特許庁のミッション・ビジョン・バリューズ(MVV)における新たなバリューとしてこの点を明確に定めました。さらに、国際的には世界の知財庁・知財機関と連携し、DE&Iの分野における国際協力を進めるとともに、ジャパン・ファンドへの拠出を通じて本分野におけるWIPOとの連携を深めています。以下に、JPOが推進するDE&Iの活動をご紹介します。
特許庁では、D&I推進の取組の一つとして、2023年8月に、女性若手職員を中心とする組織横断的なタスクフォースとして「ダイバーシティ&インクルージョンチーム」を発足させました。(2024年9月に「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンチーム」に改称)組織の多様性や包摂性について考えながら、職員一人一人が働きがいと働きやすさを感じられる組織の実現に向けた活動に取り組んでいます。
<キャリアインタビューの実施>
2023年度は、職員一人一人の自主的なキャリアビジョンの形成を促進すべく、知財関係者へのインタビューを実施し、キャリアを考えるためのメッセージ集を作成しました。
庁内インタビューの様子
メンバーの集合写真
<チームロゴの作成・公表>
2024年度は、以下のコンセプトに基づき、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンチームのロゴを作成し、2025年1月24日にJPOちゅーぶで初公表しました。
(コンセプト)
チームロゴ(縦バージョン)
チームロゴ(横バージョン)
<JPOちゅーぶ「JPOちゅーぶ初の海外進出!DE&Iはいかにイノベーションを生むか! - DE&Iをリードする世界の知財関係者に各国の最新動向を聞いてみた(前編・後編)」の公表>
2024年度、JPOちゅーぶのコンテンツにおいて、DE&I をリードする世界の知財関係者から学びを得るべく、前半では国際的なグループ「The Diversity Pledge」と参加企業「株式会社Mujin(Mujin, Inc.)」にインタビューをしました。 女性や外国人人材を含め、多様な人材をかけ合せることにより生み出されるイノベーションの秘訣を紐解いています。また、後半では、女性活躍支援に積極的に取り組む海外知財庁のうち、韓国特許庁(KIPO)にもインタビューしました。
詳しくは JPOちゅーぶでぜひご確認ください!
JPOちゅーぶ 前編(YouTube:15分30秒)(外部サイトへリンク)
JPOちゅーぶ 後編(YouTube:7分26秒)(外部サイトへリンク)
特許庁は、様々な背景や価値観をもった一人ひとりが、創造力を発揮したくなる社会の実現に向けて、企業・大学等におけるイノベーションを取り巻く環境について調査研究を実施しています。調査研究を通じて得られた知見をもとに誰もが知財エコシステムにアクセスでき、また包摂される社会を目指します。
<知財エコシステムにおけるジェンダーの多様性と包摂性に関する調査研究>
イノベーションの促進のためには、人材の多様性の強みを生かすことが重要であるとともに、多様な人材を組織内や知財エコシステムに包摂する活動が重要です。知財エコシステムにおける女性人材の現状と課題を整理し、知財エコシステムにおける多様性と包摂性を推進するために、女性の活躍を促進するための環境整備の在り方を検討する目的で調査研究を実施しました(令和5年度特許庁産業財産権制度問題調査研究の1つ)。
<イノベーションの創出プロセス等に関する調査研究>
知財エコシステム内の幅広い組織に属する発明者から、イノベーションや発明の創出プロセスにおける人材の多様性や、多様な人材を組織内に包摂する取組の状況等について事例を収集し、その中からイノベーションや発明の創出に寄与する環境についての知見を得ることを目的として、本調査を実施しました(令和6年度特許庁産業財産権制度問題調査研究の1つ)。
<発明者のチームの多様性に着目した特許の質や量に関する調査>
我が国の特許データを用いて、発明活動における研究者 チームの多様性と発明の質との関係について分析しました(我が国の知的財産制度と経済の関係に関する調査報告の令和5年度調査報告書における「(3)発明者のチームの多様性に着目した特許の質や量に関する調査」)。
※「(3)発明者のチームの多様性に着目した特許の質や量に関する調査」を参照。
<発明者の多様性が効果を発揮する条件に関する調査>
発明者の性別および国籍という二つの観点に着目し、特許データを活用した計量経済学的分析により、多様性が効果を発揮する条件を具体的に特定することを目的として、特に、女性と男性の混合チーム、あるいは日本人と外国人が混在するチームによっ て生み出された発明が、そうでない発明に比べて被引用件数で測った質が高いかどうかに ついて分析を行いました。また、女性発明者や外国人発明者による発明の質は、企業の組織風土や研究開発の方向性によっても異なると考えられるため、本研究においては、取締役や管理職に占める女性・外国人比率を組織のインクルージョン度合いの代理指標とみなし、それらの大小によって、女性発明者や外国人発明者のパフォーマンスがどの程度異なるか を検証しました(我が国の知的財産制度と経済の関係に関する調査報告の令和6年度調査報告書における「(3)発明者の多様性が効果を発揮する条件に関する調査」)。
※「(3)発明者の多様性が効果を発揮する条件に関する調査」を参照。
女子中高生、女子学生の皆さんが、理工系分野に興味・関心を持ち、将来の自分をイメージしながら進路選択ができるように、STEM(理工系)分野の職場紹介や理工系出身の女性職員等との交流が行えるイベントを開催しました。
<Girls Meet STEMツアー「特許庁で発見!みんなの大事なアイデアを守るお仕事とは?」(8/6,7)>
2025年8月6日(水)、8月7日(木)、特許庁本庁舎にて、Girls Meet STEMツアー「特許庁で発見!みんなの大事なアイデアを守るお仕事とは?」を開催しました。本ツアーでは、特許庁の仕事紹介、特許庁内(特別会議室・審判廷)の見学、知的財産に関わる様々な組織からお招きした女性職員(※)との交流会を実施しました。審判廷の見学では、現場の雰囲気をよりリアルに味わってもらうために、ツアー参加者に特許無効審判の口頭審理のロールプレイを実際に行ってもらいました。また、交流会では、特許庁、WIPO、弁理士事務所、企業の知的財産部等で働く女性職員からSTEM(理工系)分野の魅力や知財に関するお仕事の楽しさをお話しいただき、参加者と活発に交流いただきました。
特別会議室での写真
審判廷での写真
交流会の様子
交流会の様子
<Girls Meet STEMツアー「国立科学博物館で発見!みんなの大事なアイデアを守るお仕事とは?」(8/27)>
2025年8月27日(水)には、場所を国立科学博物館に移して、Girls Meet STEMツアー「国立科学博物館で発見!みんなの大事なアイデアを守るお仕事とは?」を開催しました。本ツアーでは、8/6,7開催のツアーと同様に特許庁の仕事紹介、交流会(※)を行うとともに、特許無効審判の口頭審理のロールプレイを実施しました。
会場の様子
ロールプレイの様子
交流会の様子
交流会の様子
なお、Girls Meet STEMツアーは、公益社団法人 山田進太郎D&I財団が実施する「Girls Meet STEM」プログラムの一環として開催したものです。(※女性職員として登壇していただいた方々の推薦等につき、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)、日本弁理士会(JPAA)、及び世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所にご協力をいただきました。)
【過去のイベント】
多様性と包摂性を推進する動きが国内外で加速しているなか、知財の分野においても、国内の関連団体が連携を深めながら、多様性と包摂性を高めるためのネットワーク形成と環境整備を進めることが重要です。
特許庁ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)チームは、国内の知財関連団体との連携を深めるべく、各イベントを開催しています。
2024年7月31日(水)、日本弁理士会DE&I推進委員会及び一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)DE&I Societyワーキンググループと、第1回DE&I三者会合を実施しました。知財分野に関わる人たちが、やりがいを持って活き活きと活動できる環境を醸成するための各機関の取組や、国内のDE&Iに関する課題を抽出するためのアンケートの実施等について情報を共有するとともに、小グループに分かれた自由なディスカッションを通じて、多様性や包摂性の推進を介してイノベーションの創出を加速するために、三者で連携して情報発信等を進めていくことの重要性を確認しました。
第1回三者会合の集合写真
小グループディスカッションの様子
2025年1月24日(金)には、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)DE&I Societyワーキンググループ及び日本弁理士会DE&I推進委員会との共催セミナー「Women in IP Meet up 25/輝く、知財の女性人材/自分らしく、に会いにいこう」を開催しました。本セミナーでは、ジェンダーの視点から、イノベーション創出の観点で知財業界が取り組むべき課題を浮き彫りにし、より一層の多様性が確保されたキャリアの実現に向けて新たな気づきを得るべく、「知財×女性」にフォーカスし、一般社団法人日本経済団体連合会講師による基調講演や、知財業界でキャリアを築いてきた男女のロールモデルによるパネルディスカッションが行われました。登壇者は知財人材としての魅力ややりがいを発信し、さらなる女性活躍推進及び知財の裾野拡大に向けて取り組むべき方向性について意見を交わしました。当日は対面で約60名、オンラインで約55名の多くの知財業界関係者が参加し、知財人材としての魅力ややりがいを再認識し、それぞれの身近に存在する課題を捉え、解決するためのヒントを得ました。
田村審判部長の冒頭挨拶
日本経済団体連合会・大山みこ氏の基調講演
パネルディスカッションの様子
登壇者の集合写真
2025年2月19日(水)、庁外会議室にて、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)DE&I Societyワーキンググループ及び日本弁理士会DE&I推進委員会と、第2回DE&I三者会合を実施しました。各リーダーから活動のアップデートを共有し、その後25名の参加者が複数のグループに分かれて知財業界におけるDE&Iの課題や解決手段について活発に議論しました。知財業界や日本におけるDE&Iはまだスタートラインであって、今後課題をより明確にしていく必要性があり、引き続き三者が連携することで課題解決へのアプローチを模索していくことが重要であるといった意見が出ました。
第2回三者会合の集合写真
2025年7月23日(水)、庁外会議室にて、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)DE&I Societyワーキンググループ及び日本弁理士会DE&I推進委員会と、第3回DE&I三者会合を実施しました。三者から活動のアップデートを共有し、各団体が実施したDE&Iと知財に関するアンケート調査や調査研究の結果が共有されました。その後24名の参加者が複数のグループに分かれ、各団体の調査結果を踏まえて、知財業界におけるDE&Iの実態や課題、改善策について活発に議論しました。「知財×DE&I」が次世代のイノベーション創出に貢献する可能性を認識し、三者が引き続きDE&Iの促進に向けて協力していくことを確認しました。
第3回三者会合の集合写真
小グループディスカッションの様子
日本は、世界知的所有権機関(WIPO)への任意拠出金(WIPOジャパン・ファンド)を通じて、開発途上国や後発開発途上国において、より多様な背景や価値観を持った人々が、知財制度への理解を深め、知財を有効活用することにより、地域社会・経済の発展につながるよう支援を行っています。
女性起業家支援
(2023年5月)REGIONAL CONFERENCE ON INTELLECTUAL PROPERTY FOR WOMEN IN AGRIBUSINESS
アフリカで農業ビジネスに従事する女性起業家に知的財産が果たす役割を紹介しました。
本事業に参加したジンバブエの女性起業家のその後の活躍について(外部サイトへリンク)(英語)
会合女性参加者
(2024年12月)Event Featuring FIT Japan IP Global(Panel discussions were held on a project to support female agri-business entrepreneurs in Africa, a project to support indigenous women.)
世界知的所有権機関(WIPO)のイベントにて、ジャパン・ファンドの成果がハイライトされました。
FIT/日本産業財産グローバルファンドのパネルディスカッションと展示会をWIPOで開催(外部サイトへリンク)(英語)
(2024年12月)FIT/Japan IP Global - Women Entrepreneurs Program
先住民族および地域社会のコミュニティにおける女性起業家支援(外部サイトへリンク)(英語)
若手起業家支援
(2023年11月)WIPO-ASEAN Youth Digital Forum
ASEANの若手起業家に対して、デジタルエコノミーをテーマに知的財産が果たす役割を啓発する機会を提供しました。(外部サイトへリンク)(英語)
2025年3月8日の国際女性デーを記念し、JPOを含む世界60以上の国・地域の知財庁・知財機関は女性活躍を推進する共同声明を採択しました。JPOは共同声明が開始された2022年から毎年、共同声明に参加しています。
2025年の国際女性デーのテーマ「すべての女性と少女のために~権利、平等、エンパワーメントを。(For ALL Women and Girls — Rights. Equality. Empowerment)」に基づいて、JPOも世界の仲間と団結し、知財の力をよりたくさんの女性と分かち合えるよう貢献して参ります。
(過去の共同声明はこちら)
グローバルメンタリングパイロットは、米国特許商標庁(USPTO)の主導により、2024年1月に開始した試行プログラムです。
JPOを含む15知財庁・機関からの参加者が、リーダーシップ・マネージメントなどのトピックに関して、メンタリングを実施することにより、グローバルネットワークの形成・相互理解の促進・専門的知識の向上を図っています。
2025年4月30日から5月2日にかけて、世界知的所有権機関(WIPO)(※)で女性知財(Women and IP)シンポジウムが開催され、JPOから、DE&I推進に向けた活動、大阪・関西万博で開催予定のWomen & Youthラウンドテーブル等について、各知財庁・機関に発信し、DE&I推進に関する国際的な活動への積極的な貢献を示しました。また、DE&Iや女性活躍支援に関し、各国知財庁・機関の施策や取組について情報収集を実施するとともに、各国担当者との関係構築を行いました。
写真提供:世界知的所有権機関(WIPO)
(※)第3回シンポジウムからUSPTOに代わってWIPO主催となった。
【過去のイベント】
2024年4月
2024年の世界知的財産の日(4月26日)のテーマは、“IP and the SDGs: Building our common future with innovation and creativity”(知財とSDGs―イノベーションと創造力で築く地球の未来)。「ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント」は、SDGs の柱の一つです。JPOは、DE&Iの推進をはじめ、SDGs達成に資する活動を進めています。
2023年12月
JPOがホストを務めたG7知財庁長官級会合では、包括性・多様性を広げるための知財普及啓発活動について議論を行いました。
2023年4月
2023年の世界知的財産の日のテーマは、“Women and IP: Accelerating innovation and creativity”(女性と知財:イノベーションと創造性を加速する力)。
この日に合わせて、世界各地で女性とイノベーションに関するイベントが開催されました。
2022年4月
2022年の世界知的財産の日のテーマは、“IP and Youth: Innovating for a Better Future”(IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション)。2022年のWorld IP Dayに寄せて、JPOにおける若者支援に関する取組を紹介しました。
[更新日 2025年9月9日]
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特許庁総務部国際政策課国際業務班 電話:03-3581-1101 内線2561 |