Interview04
くら寿司株式会社
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Interview04
くら寿司株式会社
大阪・関西万博を通じて「世界のレストランに革命を起こす」ことを目指すくら寿司。
日本発のアイデア「回転寿司」の安全性を知財によって守り、さらに積極的な知財戦略で独自サービスを進化させる、同社の競争力の源泉や未来への展望について、岡本浩之取締役本部長にお聞きしました。
回転寿司業界での独自性を築く、経営と直結した知財戦略
大阪・関西万博に出展するにあたり、当社が掲げたコンセプトは「回転ベルトは、世界を一つに」です。今、世界的に不安定な要素が多い中、始まりも終わりもない回転ベルトの周りで、世界中の人々が各国の料理を食べることで笑顔になってほしい。そんな願いを込めました。
この思いを形にしたのが、万博特別仕様の抗菌寿司カバー「鮮度くん」です。世界の料理と日本の寿司を乗せた二つのカバーが、万博カラーの手で握手をするデザインで、「ハンズハンズプロジェクト」と名付けました。そのベースとなっているのが平成25年に特許を取得している抗菌寿司カバー「鮮度くん」。くら寿司のビジネスモデルの中核をなす、極めて重要な知財で、「鮮度くん」があったからこそ、コロナ禍でも寿司をレーンに流し続けることができ、お客様に安心を提供できました。
当社の知財戦略は経営と直結しており、経営会議の場ではアイデアが出た瞬間に「それは特許を取れるか」「商標を抑えるように」というやりとりが交わされます。知財担当者もオブザーバーとして常時参加し、アイデアの背景を理解した上で知財化を進めます。お客様に「記憶に残る楽しさ」を届けたいという思いが、国内初の「内装の意匠」登録を受けた浅草の店舗や、「ビッくらポン!®」のようなユニークな体験価値の創造につながっています。そのようなアイデアを守り、競争力の源泉とするのが我々の知財戦略です。
そして今、当社が見据えているのは「世界のレストランに革命を起こす」という未来です。スタッフがお客様の席まで料理を運ぶというスタイルは、古くから変わっていません。しかし、人手不足が深刻化する世界において、ウェイターやウェイトレスをほとんど必要としない回転寿司のビジネスモデルは、大きな可能性を秘めています。この革命を寿司だけでなく世界の食文化で実現するため、今後は「世界で通じる知財をいかに取得するか」を重視しています。海外では当社のビジネスモデルを模倣する店もでてきており、特にアメリカ市場での独自機能に関する知財取得も視野に入れ、グローバルな視点での知財戦略を進めていきます。
万博仕様の「鮮度くん」は、連結機構(特許第7583346号)および連結部の形状(意匠登録第1782063号ほか)で知財権を取得
©Expo 2025
平成25年に特許権を取得、令和6年度 近畿地方発明表彰で発明奨励賞を受賞した抗菌寿司カバー「鮮度くん」(特許第5416288号)(商標登録第5419903号)は、くら寿司が「回転寿司」を提供するための中核をなす知財
くら寿司株式会社
取締役本部長
岡本 浩之さん
三洋電機や江崎グリコで広報を歴任し、2018年にくら寿司入社。2019年から広報宣伝・IR本部長、2021年より取締役として知財戦略や企業価値向上に取り組む。
くら寿司株式会社
「無添」にこだわる独自の回転寿司チェーンを展開し、イノベーションや食の安全、環境対応を追求。知的財産や技術開発、独創的なサービスを通じ、国内外で新しい“食”の価値を創造し続けている。
Interview 01
鹿島建設の社外連携に見る
未来を見据えた建設業の知財のあり方
鹿島建設株式会社
令和7年度「知財功労賞」において「大阪・関西万博特別賞」を受賞し、同万博では「未来社会ショーケース グリーン万博・ジュニアSDGsキャンプ」のブロンズパートナーとして、環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」の建設や、体験型プログラムの実施など、SDGsへの貢献を目指した取組を行っている鹿島建設。他社と技術を共同開発するなど社外連携を行う中で、知財についてどのようにお考えなのか、同社の知的財産部長・櫻井克己さんに伺いました。
Interview 02
強固で多角的な知財戦略で、
圧倒的な競争優位性を確立
株式会社サイエンス
大阪・関西万博に出展した「ミライ人間洗濯機」が大きな注目を集めているサイエンス。知財功労賞(大阪・関西万博特別賞)も受賞された同社の技術責任者である平江真輝専務取締役に、万博出展の舞台裏から、同社が推進する知財戦略、そして未来への展望についてお話を伺いました。
Interview 03
技術と思いを未来へつなぐ、
新たな物語の創造へ
株式会社金森合金
1714年創業の鋳造メーカー、金森合金。24代目の高下裕子さんは、知財を駆使して自社ブランドを立ち上げ、また万博での活動が知財功労賞(大阪・関西万博特別賞)に結実しました。伝統と革新を両立させる挑戦について、お話を伺います。
Interview 04
「安心」+「万博」の斬新発想で特許取得
知財を武器に、新たな食体験を提供
くら寿司株式会社
大阪・関西万博を通じて「世界のレストランに革命を起こす」ことを目指すくら寿司。日本発のアイデア「回転寿司」の安全性を知財によって守り、さらに積極的な知財戦略で独自サービスを進化させる、同社の競争力の源泉や未来への展望について、岡本浩之取締役本部長にお聞きしました。
Interview 05
万博を地域連携と世界発信の好機に、
旭川の物語をデザインに乗せて
株式会社カンディハウス
令和7年度の知的財産権制度活用優良企業として特許庁長官表彰を受賞した木製家具メーカー、カンディハウス。デザインを核とした経営とそれを支える知財戦略、そして大阪・関西万博に込めた思いを、染谷社長に伺いました。