Interview05
株式会社カンディハウス
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Interview05
株式会社カンディハウス
令和7年度の知的財産権制度活用優良企業として特許庁長官表彰を受賞した木製家具メーカー、カンディハウス。
デザインを核とした経営とそれを支える知財戦略、そして大阪・関西万博に込めた思いを、染谷社長に伺いました。
TEAM EXPOパビリオン「Co-Design Challenge プログラム」では、IFDAより生まれたカンディハウス製品計5脚を提供し、品質・デザイン・北海道産材の魅力を発信
画像提供:2025年日本国際博覧会協会
デザイン経営を核に、知財ミックスでブランド保護
大阪・関西万博では、「Co-Design Challengeプログラム」の選定団体として旭川家具工業協同組合がTEAM EXPOパビリオンに参加しており、当社は協力企業として製品を提供。旭川で3年毎に開催される「IFDA※」から生まれたものを中心に、意匠や機能性だけでなく、デザインのコンセプトやストーリーも評価された製品を展示しています。
また、飯田グループホールディングス様のパビリオンでは、未来の住空間の展示である「ウエルネス・スマートハウス®」の中に当社の家具を展示。当社では現在、世界28か国地域と取引していますが、この万博という国際的な舞台は、我々のものづくりの背景にある物語や、木の家具がもたらす心地よさを世界中の方々に直接伝えられる絶好の機会になりました。
当社には「デザインは最も重要な経営資源」という企業理念があり、「デザイン経営」を標ぼうしています。デザインとは、色や形といった狭義のデザインに留まらず、材料調達から開発、製造、販売、アフターサービスに至るまでの一貫した事業プロセス全体を設計(デザイン)することを意味し、家具を通じて「ライフスタイルを豊かにする」こと。こうした価値提供により、持続的な競争優位性を確立することを目指しています。300名近い従業員に「デザイン経営」を浸透させることは簡単ではありませんが、年初の経営基本方針発表など様々なシーンで言及することで、常に意識してもらえるように努めています。
私は、その実践のために「知財ミックス戦略」を推進。特に、海外展開やロングセラーを目指す中核製品については、意匠権や商標権の取得を進め、ブランド価値の保護と模倣品に対応しています。当社製品は椅子だけでも約40シリーズと多いため、個別の製品名に関する商標権取得は優先順位を付けて取り組む必要がありますが、製品名なども今後は対象に加えていく予定です。
また、木材調達から製造工程までの技術的ノウハウにも磨きをかけています。当社の北海道産材の使用率は10年で8%から80%に向上し、CO2排出量の削減にも貢献。こうした製造プロセスや技術についても、将来的には特許などの形で権利化することを検討しています。
知財は、企業が積み重ねてきた創造の成果を「見えるかたち」で守り、継承するための仕組みです。これからも、地域に根ざしながら世界とつながる企業であるために、知財を軸とした経営を一層強化していきたいと考えています。
株式会社カンディハウス
代表取締役社長
染谷 哲義さん
明治学院大学法学部卒業。1996年にカンディハウス(旧インテリアセンター)入社。主に企画分野を担当し、2017年常務、2020年専務を経て、2021年3月より代表取締役社長に就任。
株式会社カンディハウス
国内外のデザイナーと協働し、北欧モダンデザインや北海道産材活用、サステナブルなものづくりを推進。グローバル市場へ日本ブランドを発信し、長期使用を前提とした高品質な家具を提供している。
Interview 01
鹿島建設の社外連携に見る
未来を見据えた建設業の知財のあり方
鹿島建設株式会社
令和7年度「知財功労賞」において「大阪・関西万博特別賞」を受賞し、同万博では「未来社会ショーケース グリーン万博・ジュニアSDGsキャンプ」のブロンズパートナーとして、環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」の建設や、体験型プログラムの実施など、SDGsへの貢献を目指した取組を行っている鹿島建設。他社と技術を共同開発するなど社外連携を行う中で、知財についてどのようにお考えなのか、同社の知的財産部長・櫻井克己さんに伺いました。
Interview 02
強固で多角的な知財戦略で、
圧倒的な競争優位性を確立
株式会社サイエンス
大阪・関西万博に出展した「ミライ人間洗濯機」が大きな注目を集めているサイエンス。知財功労賞(大阪・関西万博特別賞)も受賞された同社の技術責任者である平江真輝専務取締役に、万博出展の舞台裏から、同社が推進する知財戦略、そして未来への展望についてお話を伺いました。
Interview 03
技術と思いを未来へつなぐ、
新たな物語の創造へ
株式会社金森合金
1714年創業の鋳造メーカー、金森合金。24代目の高下裕子さんは、知財を駆使して自社ブランドを立ち上げ、また万博での活動が知財功労賞(大阪・関西万博特別賞)に結実しました。伝統と革新を両立させる挑戦について、お話を伺います。
Interview 04
「安心」+「万博」の斬新発想で特許取得
知財を武器に、新たな食体験を提供
くら寿司株式会社
大阪・関西万博を通じて「世界のレストランに革命を起こす」ことを目指すくら寿司。日本発のアイデア「回転寿司」の安全性を知財によって守り、さらに積極的な知財戦略で独自サービスを進化させる、同社の競争力の源泉や未来への展望について、岡本浩之取締役本部長にお聞きしました。
Interview 05
万博を地域連携と世界発信の好機に、
旭川の物語をデザインに乗せて
株式会社カンディハウス
令和7年度の知的財産権制度活用優良企業として特許庁長官表彰を受賞した木製家具メーカー、カンディハウス。デザインを核とした経営とそれを支える知財戦略、そして大阪・関西万博に込めた思いを、染谷社長に伺いました。