H H

  • 用語解説

ここから本文です。

Vol.42
広報誌「とっきょ」2019年4・5月号

大ヒット商品の歴史を辿る
あのとき、あの知財

たまごっち
(株式会社バンダイ)

長く愛されているロングセラー商品や、一大ブームを巻き起こしたヒット商品には、そうなるべき理由がありました。開発者の熱い想い、徹底したこだわり、伝統とブランド――発想と技術に裏打ちされ、長く守られてきた商品の歴史と今日に至るまでの魅力をひもときます。

たまごっちの写真
ⒸBANDAI,WiZ

発売:1996年11月~
たまご型の携帯育成ゲーム。当時、女子高生を中心に人気に火が付き、世界中を巻き込んだ大ブームとなった。

世界中を巻き込んだたまご型の育成ゲーム

社会現象にもなった平成の大ヒット玩具

キーチェーンで携帯し、不思議な生き物を育てるゲーム「たまごっち」。この初期のモデルは30以上の国と地域で販売され、世界中の人々がこのゲームに殺到した。発売から2年半で4000万個以上を売り上げ、連日ニュースで報道されるほどの社会現象となった。

たまごっちのキャラクターの画像

生命を連想する「たまご」型と、同じ時間を共有する意味での「ウォッチ」を組み合わせた名称、キャラクターの不思議な魅力などに加え、自分の都合で電源のオン・オフができない仕様や、当時玩具としてはタブーとされていたうんちの処理、キャラクターの死など、「かわいさが2割、面倒さが8割」というペット飼育の楽しさと難しさを表現したことが大ヒットの理由の1つ。その頃、流行の発信源だった女子高生をターゲットにしたこともブームの一端を担うが、当初はバンダイもここまで人気が出るとは予想していなかった。発売直後に模倣品が爆発的に出回り、特に、たまご型の外観と正面中央の液晶パネル、正面の操作ボタンを模した商品が大量に販売された。当初は、意匠権、商標権の取得前であったため、まずは不正競争防止法により模倣品対策に奔走。その後、意匠権(第993383号)、商標権(第4070675号等)を取得して対策を講じることにより、徐々に被害は沈静化した。

また、海外については、国ごとに異なっていた商品名に個別に対応するため、1997年には27の国・地域に147件、39種類の商標を出願した。

模倣品を許さない国内外への知財対策

やがて最初のブームが収まると一時販売を休止。しかし2000年代、「女子高生が過去のたまごっちで遊んでいる」と耳にする。2004年に「かえってきた! たまごっちプラス」が発売されると、初期のブームを知らない小学生が反応。その後も、キャラクター同士の結婚により両親や祖父母のデザイン的特徴を子孫に受け継がせる仕様(特許第6055147号)などの新機能を次々に加え、これまでに累計17タイトルを販売。今では50以上の国・地域で販売され、累計出荷数は8200万個を超える。

かえってきた! たまごっちプラスの写真
赤外線通信機能を搭載して復活した「かえってきた! たまごっちプラス」

リニューアル時には、初期の経験を踏まえてあらかじめ国内外で知財対策を行った。商標権、意匠権などの取得、知財による税関差止のほか、事前に模倣品対策済みであることを公表。また、模倣品製造工場の摘発にも注力し、その結果も発表して「模倣品に厳しいバンダイ」をアピールしている。「たまごっち」は、子どもたちに受け継がれるブランドとして今も進化を続けている。

たまごっちみーつの写真
2018年発売の最新モデル「たまごっちみーつ」
ページTOPへ

Vol.42 Contents 
広報誌「とっきょ」2019年4・5月号コンテンツ紹介

BACK NUMBER
広報誌「とっきょ」バックナンバー