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特集1
現代社会が直面する課題解決に向けて、他社との共創を足掛かりに全国の鉄道会社がさまざまな活動を行っています。
今号の特集では、公共交通から街づくりまで、多様な分野を担う各社の具体的な取組を紹介するとともに、
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)長谷川社長へのインタビューから、
鉄道サービス、そして私たちの暮らしの将来像をひもときます。
地方の人口流出、少子高齢化、激甚化する自然災害……。さまざまな外的要因によって、私たちの暮らしは変化を迫られている。特に2020年春から続くコロナ禍によって自宅を中心とした非接触の生活様式が主となり、公共交通のありようをはじめ、「暮らしやすい街」の姿が劇的に変貌を遂げた。
そうした中で、「人を運ぶ」ことのみならず、街づくりや小売、飲食まで、生活に結び付く多様な分野を手掛ける鉄道会社が、課題解決の糸口を模索している。そこで見いだされた道が、関連企業や他分野の企業、研究機関などと共創を行うオープンイノベーションだ。JRをはじめ、首都近郊の私鉄でも各社さまざまな工夫を凝らしている。
今回は、そうした鉄道会社が取り組む技術革新、とりわけオープンイノベーションに注目した。各社の事例を紹介するとともに、社長が先頭を切りグループ会社一丸となってオープンイノベーションに取り組むJR西日本の活動にフォーカスしたい。後半では、同社の長谷川社長にその取組の詳細や、共創における知財戦略、そしてイノベーションにかける思いを聞いたので、ぜひ一読してほしい。