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JPO通信
このたび公表した「知財を使った企業連携4つのポイント」は、企業間や企業・研究機関間などでそれぞれの保有技術や知識を組み合わせ、より市場価値の高いイノベーションを創造する“オープンイノベーション”を促進するためのパンフレットです。
日本の将来像を考えたとき、新たな産業・ビジネスを早急に創出しなければ、経済的成長が見込めないという危機感があります。かつては大企業が独自にイノベーティブな技術研究を行い、それをもとにしたものづくりによって、日本のGDPは増大してきました。しかし、変化のスピードが速い現代では、革新的な技術やアイデアを有する中小企業やベンチャー企業と大企業が対等なビジネスパートナーとして手を携え、協働によって成果を生み出すオープンイノベーションの必要性が高まっています。
ただ、規模の小さい企業体では法務部門が整備されていないことが多く、大企業との連携時に知的財産権管理や契約におけるトラブルが起こりかねません。本冊子では、これから積極的にオープンイノベーションに取り組もうとする中小企業などが、知財を管理するうえで起こりがちなトラブルと注意点を事例形式で掲載しました。一方で、提携先企業にとっても、掲載事例のようなミスマッチが発生する可能性を示唆するものとなっています。
TVドラマも大ヒットした人気小説「陸王」(池井戸潤著/集英社刊)を取り上げ、作中の出来事を例に、オープンイノベーション時の企業連携のポイントを紹介しているのも本冊子の特長です。官公庁による刊行物は、一般的に「堅苦しくて読みづらい」というイメージがありますが、本冊子はそうしたイメージをできるだけ払拭し、わかりやすく読みやすいものになるよう、内容・デザインともに特許庁担当者と伴走して力を尽くしました。本企画に全面的にご協力いただいた池井戸先生には心より感謝しております。
こうした啓発活動を含め、日本の産業界に意識転換を促す政策については国・行政に期待していきたいと考えています。大企業と中小企業・ベンチャー企業との連携は双方にメリットがあり、グローバルな市場での競争力強化には不可欠な視点ですから、オープンイノベーションの促進はこの国の急務ではないでしょうか。
特許庁では、全国の皆様に知的財産(知財)を効果的にご活用いただけるよう、全国各地を巡回し、さまざまなプログラムを用意しております。知財の見方を変え、ビジネスの味方につけるきっかけとしてぜひご参加ください。
また、「知財のミカタ~巡回特許庁~」の開催期間中、審査官が出向いて面接を行う「出張面接」を周辺地域にて集中的に実施します。出願した案件について、特許庁の審査官と直接対話を行うことができますので、お気軽にご相談ください。
知的財産権制度の基礎的な内容について学びたい方、興味のある方を対象に、初心者向け説明会を開催します。
知的財産権の基礎知識や実際の企業の活用事例・トラブル事例、知的財産権活用の効果など、ビジネスに役立つ情報をご紹介します。
期間 | 6月~9月の間で59回開催 |
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場所 | 全国47都道府県 |
定員 | 開催会場ごとに設定(先着申込) |
参加費 | 無料(テキスト無料配布) |
特許庁では、毎年「特許行政年次報告書」を取りまとめ、公表しております。知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報、特許庁の取り組み等をもとにご紹介しています。
(1)国内外ベンチャー企業の知財戦略事例集“IP Strategies for Startups”、(2)オープンイノベーションのための知財ベストプラクティス集“IP Open Innovation”、(3)知財デュー・デリジェンスの標準手順書“SKIPDD”を取りまとめました。ぜひご活用ください。
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とっきょVol.38
2018年8・9月号
発行:2018年7月25日制作:特許庁広報室
問い合わせ
03-3501-6792(特許庁広報室直通)
※平日9時00分~17時30分
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