• 用語解説

ここから本文です。

Vol.43
広報誌「とっきょ」2019年10月7日発行号

あのとき、あの知財
大ヒットの裏側を探る!

いつでも新鮮®しぼりたて生しょうゆ
(キッコーマン株式会社)

長年愛されているロングセラー商品や、一大ブームを巻き起こしたヒット商品には、そうなるべき理由がありました。
商品の魅力やそれを支える知財のエピソードをひもときます。

いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆの写真

発売:2011年
登録商標 第 5860508 号 / 第 0050131 号 / 第 5318300 号 / 第 5032970 号 ほか
「ダブルフレッシュ」をコンセプトに、酸化を防ぐ密封容器に詰めたしぼりたての生しょうゆ。開栓後、常温保存で90日間新鮮な味わいを保つことができる。

しょうゆ卓上びんの写真

ヒットのワケ

近年、素材の風味を生かした新鮮な味が好まれる傾向がある中、この生しょうゆはまろやかな味わいや風味を長期間楽しめるのが特長。「やわらか密封ボトル」は酸化を防ぐだけでなく、1滴から欲しい分まで注ぐ量を自在に調整でき、使いやすさも人気の秘密だ。形状も、昔ながらのガラスの「しょうゆ卓上びん」(写真右)のなめらかなシルエットを踏襲している。

業界の概念を変えた“生しょうゆ”と100年以上変わらぬ「萬」マーク

2011年に発売された「いつでも新鮮®しぼりたて生しょうゆ」の卓上ボトル。しぼりたての生しょうゆの鮮度を長く保つ特性で、しょうゆ製品に革命を起こした。

近ごろ、さまざまな食のジャンルや各国の食材が身近になり、日本人のしょうゆの嗜好も多様化している。そんな中、生まれたのがフレッシュな味わいを楽しめる生しょうゆだ。だが、火入れ(加熱処理)をしない生しょうゆは味や色の劣化も早い。そこで、しぼりたての新鮮な味わいを食卓に届けるため、空気を通さない二重構造の「やわらか密封ボトル」やダブル逆止弁キャップなどを開発。素材の味を生かしたまろやかな生しょうゆの鮮度を長く保つことに成功した。権利面では、ボトルに関わる技術とデザインを特許権・意匠権で保護すると共に、商品名「いつでも新鮮」も商標登録。「いつでも新鮮」シリーズの商品ラインナップを拡充し、さらに、しょうゆ市場の活性化を図ってゆく。

キッコーマンといえば、六角形の「萬」マークでも知られている。これは明治時代の1912年以来、100年以上登録が続く商標の一つで、1820年頃から使用。「亀甲山かめがせやま」と呼ばれる丘に鎮座する千葉県香取市の香取神宮が有する神宝「三盛亀甲紋松鶴鏡」の亀甲紋様を図案化したものと伝わる。海外進出に伴い、178の国と地域で商標出願・権利化対応※。地域によっては模倣品が多発しており、監視・対応にも積極的に取り組んでいる。

「萬」マークの写真
後の特許局初代長官・高橋是清が明治天皇に商標保護の説明をした際にも、このマークが使用された

なにより、口に入る食品は安全、安心が第一。万が一、模倣品を口にして健康被害が生じたり、間違ったしょうゆの先入観を持たれたりすることは許されない。消費者に間違いなく本物を手に取ってもらい、日本文化を正しく伝え、守っていく。百余年、大切に守り続けてきた「萬」マークにはそんな使命も息づいている。

※ しょうゆ・調味料について

ページTOPへ

Vol.43 Contents 
広報誌「とっきょ」2019年10月7日発行号 コンテンツ紹介

BACK NUMBER
広報誌「とっきょ」バックナンバー