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JPO通信
TOPICS 2
ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏とリチウムイオン二次電池に関する企画展示。
2019年12月9日から、2020年1月31日までの間、ノーベルウィークに併せてノーベル賞を受賞した旭化成株式会社名誉フェローの吉野彰氏とリチウムイオン二次電池に関する企画展示「リチウムイオン二次電池の発明が拓いた社会(吉野氏ノーベル賞受賞記念)」が、特許庁にて開催されました。 今回の企画展示に対して、旭化成の知財担当者からコメントをいただいたので、ご紹介します。
「リチウムイオン二次電池の発明は、特許権として保護され、その権利をライセンス提供することで産業の発展につながったものです。まさに特許法第一条(この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。)を体現するような発明だと考えております。それが特許庁で展示されることは、訪れる人たちに知財の重要性を改めて知っていただくことにつながり、知財関係者としても非常によいことだと考えます。
リチウム二次電池は様々な製品に使われていますが、開発時はここまで市場や用途が広がるとは予測できていませんでした。もともとは当時大きかったビデオカメラを小型化したり、モバイル機器に転用できるであろうという程度に考えていましたから。ところが、ウィンドウズ95の普及がきっかけでノートパソコンへの需要が高まり、その後もスマホや電気自動車の普及に伴って市場は拡大し続けています。
開発において苦労した点は数えきれません。例えば、基本特許については、付与前異議申立て制度の時でしたが、公告後13者から異議が申し立てられました。ライセンス契約と並行して係争も起きていましたから、常に荒波に揉まれているような感じでした。
また、弊社のような化学メーカーが電機メーカーにライセンス供与するということは非常に珍しいケースでしたから、まさに手探りの状態だったといえます。
吉野さんは研究のアイデアのみならず、特許審査の拒絶理由への対応に関するアイデアまで次々と出てくる方。 一緒に仕事ができたことは勉強になりました。」
2020年3月2日
記事を読む2020年3月9日
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