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Vol.45
広報誌「とっきょ」2020年3月9日発行号

ゲームと先端技術の融合領域から見える、新たな可能性

特許情報から読み解くゲーム業界

野崎篤志氏の写真

ゲーム業界は、特に、ファミリーコンピュータがヒットして以来、日本がけん引してきたと言える業界です。ゲームへは常に最新技術が搭載されてきましたが、近年注目を集めるAR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)などの先端技術との融合および今後のトレンドについて探ってみました。

執筆:株式会社イーパテント
代表取締役社長/知財情報コンサルタント 野崎篤志

ゲームとは先端技術の“結晶”

技術革新とゲーム市場の変化

一口にゲームと言っても、【図1】に示すように「コンシューマーゲーム」、「PCゲーム」、「モバイルゲーム」に分類することができます。
これら3つを合わせたゲームの市場規模は2018年には1379億ドル(約15兆円)、21年には1801億ドル(約20兆円)に達すると予想されています。中でもモバイルゲームの市場の伸びは著しく、18年ではゲーム市場の約50%が、21年には約60%がモバイルゲームによって占められると予想されています。※1

コンピュータゲームの分類図
【図1】コンピュータゲームの分類
※図中の商品名、社名は2014年調査時のもの 注:モバイル機器向けのOSを開発・提供

30〜40代の方は83年に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)で遊んだ方も多いのではないでしょうか。コンシューマーゲームでは任天堂(ファミコン、スーパーファミコンなど)やセガ(セガ・マークIII、サターン、ドリームキャストなど)、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE、プレイステーション)などの日本企業が市場をけん引してきましたが、00年代に入りアメリカのマイクロソフトもXboxで市場参入を果たしています。

一方、10年頃から中国企業の存在感も増してきました【図2】。
これは07年にアップルからiPhoneが発売され、モバイルゲーム市場が急激に立ち上がったことによるものでしょう。
コンシューマーゲームから現在のモバイルゲームへのシフトは、グローバルにおけるゲーム関連特許の出願人ランキングの変遷を見ていただくと明白です。

ゲーム関連特許件数推移の図
【図2】ゲーム関連特許件数推移(2018~2019年出願分は未確定値)

99年以前、00〜09年、10年以降の3つの期間で区切ったランキングを【図3】に示しました。
99年以前はバンダイナムコをはじめとした日本企業がトップ5を独占していることが分かります。一方、10年以降になると、中国のネットイースや、日本のグリー、ディー・エヌ・エーといったモバイルゲーム企業が上位にランクインしていることが分かります。

ゲーム関連特許出願の企業ランキングの図
【図3】ゲーム関連特許出願の企業ランキング(1999年以前、2000~2009年、2010年以降)
※図中の社名は、Derwent Innovationに登録されている社名をイーパテントで名寄せ
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広報誌「とっきょ」2020年3月9日発行号

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