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発想の転換で新たな価値を創造 とっきょ

Vol.65 2025年8月22日発行号

知財が創る未来

ふくしまイノベーション「企業ファイル」

2024年1月、特許庁は福島県及び公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構と、知的財産の保護及び活用に関する連携協定を締結しました。知財で福島の新しい時代を切り開く企業やプロジェクトを紹介します。

FILE #5

PROFILE

株式会社 クフウシヤ

  • 代表取締役:
  • 大西 威一郎
  • 所在地:
  • 本社 神奈川県相模原市中央区淵野辺本町3-1-9
    福島R&Dセンター 福島県南相馬市原町区萱浜新赤沼83番
    福島ロボットテストフィールド 研究棟No.10
  • 従業員数:
  • 19名(2025年7月現在)
  • 事業内容:
  • AIを活用したロボットの企画、研究、開発、販売。ハードウェア・ソフトウェアの一貫開発。
株式会社 クフウシヤ

特許に裏付けられた独創性で
世の中にまだない国産ロボットを!

 クフウシヤは2021年2月に南相馬市と連携協定を締結し、同年8月より福島ロボットテストフィールド(RTF)の研究室に入居するエンジニア集団です。特定用途など大手企業が参入しないようなニッチ分野や、セキュリティや経済安全保障の観点から求められる国産ロボット需要に応える取組を続けています。現在は全社員19名中7名が福島県出身者で、中には福島にゆかりのあるロボット企業で働きたいと転職してきた社員もいます。
 「手厚いご支援をいただいている福島への恩返しとして、『福島発』の日本初や世界初みたいなものがどんどん出てきたらいいな、という思いで取り組んでいます」と語る大西社長。同社では、福島県の知財支援制度を活用し、2022年4月に階段昇降ロボット技術において特許権を取得しています。
 「実は、以前は私たちのような小規模な企業にとって、特許は縁遠いものだと思っていました。しかし、掃除ロボットの開発で大手企業との競争を経験し、『特許権等で自分たちの身を守る』必要性を痛感。そんなとき、県から、『震災復興支援早期審査』制度の活用を勧めていただきました。資金的・スケジュール的に手厚いご支援のおかげで階段昇降ロボットの特許を取得でき、『こういう風にすれば取れるんだ』と知財がぐっと身近に。この経験は社員にも共有され、今では『これ、特許なんじゃない?』と、日常的に知財へと意識が向かうようになっています」
 さらに、知財権の取得は同社に副次的な効果をもたらしているそうです。
 「お客様に階段昇降ロボットの特許の話をすると、感触がすごくいい。知財が、人材や企業理念といった他の無形資産を証明する役割も担ってくれているんですね。これまで、知財といえば身を守るための『盾』というイメージでしたが、今後は事業を加速させるための攻めのツールとして活用していくべきだと実感しています。『工夫』を社名に掲げる当社にとって、特許を取れるような独創性のある工夫の証しでもあり、工夫を大事にした会社としての説得力を高めています」(大西社長)

POINT

四脚ロボット関連など、
海外知財情報に刺激を受ける

INPITのIPランドスケープ支援事業を利用したことをきっかけに、海外の知財情報にも敏感になったと言う大西社長。「アメリカや中国など、特に四脚ロボットに関する情報を詳細に提供いただけたことで、ビジネスモデル特許の重要性にあらためて気づくことができました。当社が今注力するのは2足歩行の人型ロボット。類似の分野における世界的な情報に触れられることは、とても大きな刺激になっています」(大西社長)

2足歩行の人型ロボット

現在最も力を入れているのがAIとロボットの組合せ。特に、人型ロボットがコンビニ店員や福祉介護などに社会実装される未来を見据え、積極的に取り組んでいる

Vol.65 記事一覧

特集1 株式会社HPC沖縄
特集 災害に知財で立ち向かう

Interview 01

100年の耐久性。デザイン性も

沖縄から世界へ 次世代超軽量コンクリートの可能性

株式会社HPC沖縄

沖縄のスタートアップ企業が開発した超軽量コンクリート「HPC」が注目を集めています。その特長は軽くて強く、しかも海水で練ることが可能。独自技術を特許で保護し、ライセンスビジネスを展開するHPC沖縄の取組について、阿波根社長に聞きました。

特集2 株式会社Laspy
特集 災害に知財で立ち向かう

Interview 02

防災備蓄を街のインフラに!

知財が加速させた
スタートアップのビジネス展開

株式会社Laspy

Laspyが提供する防災備蓄ワンストップサービス「あんしんストック」は、都市の防災インフラを再構築する画期的な試み。コロナ禍での社会不安を原点に、安心な社会の実現を目指す藪原社長の挑戦と、その事業を支える知財の力に迫ります。

漫画 株式会社アーキビジョン21
知財戦略どうやって取り組んでいるの?

「普及」と「品質維持」に知財を活用

災害時にも安心して住める高品質住宅を全国に!

株式会社アーキビジョン21

仮設住宅への展開が期待されるムービングハウス「スマートモデューロ」。その普及のために知財を活用したブランド保護戦略を展開するアーキビジョン21の活動を紹介します。

INPIT支援 四国プランニング株式会社
アイデア・出願・事業展開・海外展開等

知財支援はINPITにおまかせ!

四国プランニング株式会社

「INPIT知財総合支援窓口」は独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が、47都道府県に設置している地域密着型の相談窓口です。中小企業をはじめとした企業の皆さまの経営課題解決に向け、自社のアイデア、技術、デザイン、ブランドなどの“知財”の面から支援を行います。

特別企画 産業財産権制度140年
特別企画 産業財産権制度140年

ハーグ協定のジュネーブ改正協定への加入

2025年は、日本で専売特許条例が公布されてから140年となります。これを記念して、2015年から2025年までの10年間における印象的な出来事と、現役職員の振り返りを連載していきます。

知財トピック コンセント制度
知財トピック

「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました!

特許庁は、2025年4月7日、昨年4月に開始された「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました。

特許庁からのお知らせ
特許庁からのお知らせ

INPIT外国出願補助金 令和7年度第2回公募のお知らせ

模倣品対策支援事業(サポート型・セルフ型)公募のお知らせ

福島事例 株式会社クフウシヤ
知財が創る未来

ふくしまイノベーション「企業ファイル」FILE#05

株式会社クフウシヤ

2024年1月、特許庁は福島県及び公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構と、知的財産の保護及び活用に関する連携協定を締結しました。知財で福島の新しい時代を切り開く企業やプロジェクトを紹介します。

身近な知財 株式会社WILLTEX
身近な知財

災害時に“あったかい”を提供する電子レンジバッグ

株式会社WILLTEX

さまざまなカタチで暮らしに進化をもたらす知財たち。新たなアイデアによって生まれた多彩なアイテムを紹介します。