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Vol.41
広報誌「とっきょ」2019年2・3月号

特集1

オープンイノベーション × 知財

KDDI(東京都千代田区)

ベンチャー企業を積極的に支援し
事業共創の可能性を見出す

ベンチャー支援の発端は「危機感」

大手通信事業者のKDDIは、早くからベンチャー企業の支援事業を行っています。

同社は、自社の利益のためではなく、ベンチャー企業の利益を第一優先(ベンチャーファースト)としてベンチャーコミュニティーの運営にあたっています。ベンチャー企業に対して人や場所、ノウハウなどの事業支援を行う「KDDI ∞ Labo」を開始し、2012年には、国内外の有望なベンチャー企業に投資を行うコーポレートベンチャーキャピタル「KDDI Open Innovation Fund」を立ち上げて、資金面でもベンチャー企業を支援してきました。

一例として、ECサイト運営などを手がけるルクサ(2010年創業)に対し、2013年に同ファンドから出資。2015年にM&Aを行い、現在はKDDIのEC事業の中核を成しています。eコマース分野のほかにも、広告・デジタルマーケティング分野、IoT分野など、戦略的領域の中核を担う事業共創がいくつも実現しています。

ルクサと共同開発した「au WALLET Market」の概要図
ルクサと共同開発した「au WALLET Market」では、厳選したよい商品をタイムセールで気軽に購入できるという新しい買い物体験を提供

また2015年には、同社だけではカバーできない領域でアセットやノウハウを有する大手企業を事業共創パートナーとするプログラムを始動しました。ライフデザイン事業本部の中馬和彦部長は、「KDDIだけでなく、多様なジャンルの大企業をグループ化し、オールジャパンでベンチャー企業を支援していきたい」と話します。

2018年9月には、最新の通信設備やアジャイル開発部隊などを備えた「KDDI DIGITAL GATE」を港区虎ノ門にオープン。KDDI ∞ Laboも同施設に移転させ、大手企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるだけでなく、大手企業とベンチャー企業とをマッチングさせた事業共創も推し進めています。

KDDI DIGITAL GATEの写真
KDDI DIGITAL GATEでは多くのセミナーやワークショップを開催

こうしたベンチャー企業への支援・教育体制を評価し、経済産業省・特許庁は平成30年度「知財功労賞経済産業大臣表彰」の「オープンイノベーション推進企業」としてKDDIを表彰しました。

ベンチャー企業の知財管理を後押し

国内外をつなぐ通信事業の特性上、国際標準化や知的財産権の重要性を重く見てきた同社。弁理士を招いたセミナーなどでの啓発、契約書の書き方といった実務面までベンチャー企業をサポートしてきました。

「創業間もないベンチャー企業は、知財管理にまで手が回らないことがほとんど。そのため、生み出した商品やサービスをいざ世に出すときに足元をすくわれるリスクが高いのです」(中馬部長)。こうした支援により、ベンチャー企業の知財への意識も高まっています。

中馬和彦ライフデザイン事業本部部長の写真
中馬和彦ライフデザイン事業本部部長

「今後は、個人が組織に縛られず、人が組織の間をオープンに動き、それが組織の成長やイノベーションにつながるような構造が必要です。それに備え、今まで以上に知財の帰属やイノベーションモデルを考えておかなければ進化が止まってしまう」と話す中馬部長。「企業規模に関わらず、今後の事業共創やその先の展開についても皆で考えていきたい」とオープンイノベーションに対する意気込みを語りました。

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