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特許出願をもう少し詳細に見てみましょう。特許明細書には、発明された技術がどのような用途に適用できるのかも記載されているので、これを解析すると、今後、各社がどのような応用分野に照準を合わせているのか、俯瞰できます。
2013年∼2017年にかけて出願されたドローン関連特許5万ファミリーを対象に、明細書に記載されている「用途」に着目して、テーマスケープマップを作成しました※6。すると現在注目される11種類の主要な応用分野が見えてきました【図3】。
ここからさらに、この11種類の応用分野の2013年と2017年の特許出願件数を用途別に比較したグラフを作成したのが【図4】です。
これを見ると、特許出願件数では「農業」分野が群を抜いていることが分かります。この中には、ドローンによる農薬散布などの技術の出願が含まれます。
一方、5年間での件数の伸び率では「通信拠点」分野の68.9倍が目を引きます。この分野には、ドローンを携帯電話などのデータ通信の基地局にする技術などが含まれます。たとえば、ドローンに実装した光ビームを用いた通信技術を利用することで、光ファイバーを敷設することなく、大容量のデータ通信を可能とすることができるようになるかもしれません。これは、災害などにより、一時的に通信が途絶えた場合などの対策として有効な技術として期待されます。
さらに、「構造物チェック」分野は16.3倍、「環境モニタリング」分野は12.9倍と着実に成長している応用分野といえそうです。これら二つの分野について詳細に見てみましょう。
※6 Derwent Innovation のテーマスケープ(ThemeScape)を活用して分析。特許発明の新規性、優位性、用途をそれぞれ人手で評価してテキストとして蓄積したデータベースの中で、※3で使用された特許検索式を利用して抽出された特許約5 万ファミリーに対して、用途に関するテキストを対象にテキストマイニング分析を実施。等高線の山が高いところは、件数が多いことを表す。見えてきた山のうち、技術に近いものを除き、11の主要な用途を決定した。
2019年12月2日
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