Interview02
錦城護謨株式会社
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Interview02
錦城護謨株式会社
中小企業こそ
創業89年の歴史を持つ老舗ゴムメーカーが、なぜ福祉分野へ進出したのか。視覚障がい者誘導マット「歩導くんガイドウェイ」は、デザインと技術の力で点字ブロックが抱えていた課題を解決し、令和7年度知財功労賞(デザイン経営企業)を受賞。
知的財産を「攻めの武器」として活用し、社会の課題解決に挑み続ける錦城護謨の取組について、太田社長に伺いました。
社会のニーズに応えるものづくりを目指して
当社が福祉事業に取り組むには、二つの大きな理由がありました。一つは、「社会の要求するものをつくり提供することこそわれらの使命」という当社の経営理念。もう一つはビジネス的な観点で、超高齢化社会を迎える日本は「福祉」が大きな社会課題になると予測したことです。
そんな中、土木事業を通じてご縁のあった全盲の発明者の方との出会いが、後の「歩導くんガイドウェイ」開発のきっかけとなりました。彼は自身が抱える不便さから、「車椅子の方のバリアにならない誘導路を広めたい」と発案し活動されていたのです。
この想いの実現のために、当社は販売協力を開始。しかし、当初の誘導マットは「めくれ上がる」という問題や「汚れる」という課題が顕在化。ある大手銀行様の全店舗に導入していただいた後、クリスマスの日に「全て撤去してくれ」と連絡がきたことは今でも忘れられません。私は「半年間だけ時間をください」と懇願し、通常は一年半を要すところ、半年間で金型だけで5回も作り直すなど試行錯誤。そして、視覚障がい当事者や車椅子利用者、そしてデザイナーなど多様なメンバーがタッグを組み、約束通りお客様が求める製品クオリティを実現できたのでした。
知財は中小企業の背中を押してくれるパワー
「歩導くんガイドウェイ」は、既存の点字ブロックの課題を解消する新たな価値を持つ製品です。しかし、誰も知らない製品を市場に浸透させるためには、「本当に大丈夫か?」「法律的に問題ないか?」といった信頼性の壁を乗り越える必要がありました。
当社では、開発時のノウハウから、実用新案権や意匠権などの知的財産権を登録しております。取得した知的財産権が、製品の信用性を担保し、公的なお墨付きとなり、特に役所などの公的機関や大学関係との交渉を進める上で、知財が大きな後押しとなったのです。
また、知的財産権取得の効果は社員たちの自信にもつながり、自社ブランド「KINJO JAPAN」を立ち上げる源泉にもなっています。
私が考えるユニバーサルデザインとは、機能的な解決にとどまらず、社会全体のマインドを変革していくことです。視覚障がいの方を見掛けたら声をかける、車椅子の方を手伝う、そうした優しさのマインドこそが最も大切だからです。我々のプロダクトや取組(万博での誘導プロジェクトなど)を通して、これまで関心のなかった人たちが、社会課題に気づき、知ってもらう。その気づきが、社会をより良い方向へ変えていくと信じています。誰もが安心して、簡単に使える環境づくりこそが目標です。
中小企業は信頼性の担保が難しい場合がありますが、知財は背中を押してくれる大きなパワーになります。単に権利を守るだけでなく、市場性を広げ、ビジネスを切り開く「攻め」の活用が重要です。その製品に込めた「思いの部分」や「プロセスの部分」といった情報も発信しやすくなり、共感を呼ぶ効果も期待できます。全国の中小企業の皆様には、早期審査制度や行政の支援も利用しながら、積極的に知財戦略を展開することをおすすめしたいですね。
錦城護謨株式会社
代表取締役社長
太田 泰造さん
創業家三代目として2009年に就任。モノが溢れる時代において、メーカーのあり方を模索し、社会課題解決と社員の誇り醸成のためデザイン経営を推進。令和7年度知財功労賞(デザイン経営企業)を受賞。
錦城護謨株式会社
Interview 01
ゆにもの特許
ユニバーサルデザインと知財で描く誰もが働きやすい社会
オムロン太陽株式会社
知的障がいや精神障がいのある方の雇用ニーズが高まる中、オムロン太陽が取り組む「ゆにもの」(ユニバーサルものづくり)。「ゆにもの」に関する知的財産権を無償で社会に開放するという画期的な戦略の狙いは、オムロングループ全体が目指す、誰もがいきいきと活躍できる未来社会の実現にありました。
Interview 02
中小企業こそ
知財を力に、安心を世界へ広げるデザイン革命
錦城護謨株式会社
創業89年の歴史を持つ老舗ゴムメーカーが、なぜ福祉分野へ進出したのか。視覚障がい者誘導マット「歩導くんガイドウェイ」は、デザインと技術の力で点字ブロックが抱えていた課題を解決し、令和7年度知財功労賞(デザイン経営企業)を受賞。知的財産を「攻めの武器」として活用し、社会の課題解決に挑み続ける錦城護謨の取組について、太田社長に伺いました。
人に優しい『素直』なものづくり
ユニバーサルデザインは当社商品開発の“当たり前”
株式会社レーベン
人々の困りごとを解決するために次々に新商品を生み出し、知財活用を推進するレーベンの取組を紹介します。
知財支援はINPITにおまかせ!
株式会社アジェンダ
「INPIT知財総合支援窓口」は独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が、47都道府県に設置している地域密着型の相談窓口です。中小企業をはじめとした企業の皆さまの経営課題解決に向け、自社のアイデア、技術、デザイン、ブランドなどの“知財”の面から支援を行います。
専門家派遣でスタートアップの知財活動を支援!
2025年は、日本で専売特許条例が公布されてから140年となります。これを記念して、2015年から2025年までの10年間における印象的な出来事と、現役職員の振り返りを連載していきます。
身近なものの中にあるユニバーサルデザインと知財
身近な生活の中にある様々な製品には、誰もが使いやすいよう工夫されたユニバーサルデザインが採用されています。これらのユニバーサルデザインの工夫は、特許権や意匠権といった知的財産権によって守られ、私たちの暮らしを豊かにしています。その具体例を紹介します。
オンライン発送制度が変更になります
AI関連発明の出願状況を調査し、結果を報告しています
「知的財産スタートブック」を公開しました
ふくしまイノベーション「企業ファイル」FILE#07
古川プラスチック
2024年1月、特許庁は福島県及び公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構と、知的財産の保護及び活用に関する連携協定を締結しました。知財で福島の新しい時代を切り開く企業やプロジェクトを紹介します。
どう着ても正しく着られる、
裏表も、前後もないシャツ
HONESTIES株式会社
さまざまなカタチで暮らしに進化をもたらす知財たち。新たなアイデアによって生まれた多彩なアイテムを紹介します。