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齋藤:私たち審査基準室は、「特許・実用新案審査基準」を整備しています。これはどんな発明が特許を取得できるか、その考え方をまとめたものです。さらに、この考え方を審査官と出願する方の双方に分かりやすく伝えるために事例集を作成・公表しています。
当室は過去にもIoTやAIの関連発明に関し、審査のポイントを分かりやすく伝えるべく合計23の事例を作成・公表してきました。その後、昨年春頃からAI関連発明に関し特許取得のための考え方について多くの質問を受けるようになり、こうした関心の高まりを受け今年1月、新たにAI関連発明の10の事例を追加公表しました。
審査官が発明のどこに着目して特許性を判断するのか、出願する側はどの点に注意して書類を作成すればよいのかを各事例に記載しました。特許性が肯定される事例だけでなく、否定される事例も紹介することで、10の事例全体で審査のポイントを分かりやすく示しています。また、今後のAIの発展を見越して化学、機械、電気、農業やその他多くの分野を網羅し、これまでAIとは無関係だった企業にも関心を持ってもらえる事例にしています。
今回の追加事例も含め、まとまったAI関連発明の事例の公表は世界初のものです。今後は、この事例を基に海外の特許庁と議論し、判断基準の国際調和を目指したいと考えています。それによって、日本企業が海外でAI関連発明の特許を取得する際にも特許取得の予見性、可能性が高まるものと期待しています。
少子高齢化が進む日本で、AI技術は予想される労働力不足を補うために必要なものです。AIは、分野を問わず、人間がこれまでに得たデータを基に判断を行い、人間の「補助」として機能してくれるもの。今後AI関連発明がますます増え、それらが適切に特許として保護されビジネスに使われることで産業が活性化されることを期待します。
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2019年9月25日
記事を読む2019年9月18日
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